薬剤師配置に関する規制緩和問題
1 薬剤師配置に関する規制緩和問題とは
2000年3月31日に規制緩和3カ年計画(再改訂)が閣議決定され、その内容に、「医薬品一般販売業における薬剤師・管理薬剤師の配置義務の見直し」が盛り込まれた。これは、H2ブロッカーのチェーンドラッグストアーでの販売実態から、薬剤師が常時勤務し、医薬品販売にあたって消費者への情報提供を徹底する行政指導強化の動きに対して、チェーンドラッグストアー協会が規制緩和を要望したことによるもの。
2 取り上げた経緯とその後の経過
薬局等での医薬品の販売にあたっては、「常時管理薬剤師による管理の状態であること」が薬事法にて定められている。
1975年 | 大規模スーパー等の経営するドラッグストアーの進出に対して対面販売の実施を指導するよう薬事法の改正あり。 |
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1996年 | 繰り返される薬害を教訓に、医薬品の販売に際しての情報提供について薬局開設者、医薬品販売業者の努力義務が薬事法に盛り込まれる。 |
1997年 | H2ブロッカーをスイッチOTCとして承認するにあたって「薬局、薬店を通じて消費者に適切な情報提供をはかる」ことが承認条件とされた。 |
1998年7月1日 | 当会議はH2ブロッカーの販売実態調査により消費者に対する情報提供が不十分であることを指摘 |
1998年10月 | 首都圏の地方自治体によるチェーンドラッグストアー等への立ち入り調査により、約3割の店舗で薬剤師不在であったことが判明し、同12月、薬務局通知「薬局等における薬剤師による管理及び情報提供等の徹底について」が出される。 |
1999年 | 厚生省による薬局等の一斉監視にて薬剤師不在を調査 |
2000年 1月 | 日本チェーンドラッグストアー協会は薬剤師配置義務の緩和を促す運動を開始 |
2000年3月 | 規制緩和3カ年計画再改訂に薬剤師・管理薬剤師の配置義務見直しが盛り込まれる |
3 何が問題か
ますます医薬品や健康補助食品等の種類が増加し、H2ブロッカーのように作用が強く、のみ合わせに注意が必要なスイッチOTCの拡大に伴い、確実な情報提供や対面指導が一層重要になっている。そのような状況に対応して行政指導を強化している中でチェーンドラッグストアーの違法な実態に合わせて配置義務規制を緩和することは重大な問題。
4 具体的な行動方針
2000年7月18日 「薬剤師配置についての規制緩和に反対する要望書」を内閣総理大臣、厚生大臣あてに提出。ホームページにも掲載し、規制緩和反対の意志表示を行った。
5 その後について
- (1) 薬剤師配置の規制緩和として、深夜・早朝に薬剤師がテレビ電話を通じて医薬品を販売する問題について、指定医薬品を除く一般用医薬品に関して、夜間テレビ電話対応する店舗に週一回以上、昼間も勤務している等12項目の条件のもとに、2004年4月より施行されることとなった。
- (2) 薬剤師配置の規制緩和は、医薬品販売制度に関する薬事法改正により、登録販売者制度につながった。医薬品のリスクに応じた販売体制という考え方は合理性があると言えるが、実際に決定されたリスク分類は、薬剤師が関わるべき医薬品の多くが第2類(非薬剤師である登録販売者による販売が可能)にひとまとめに分類されている問題がある。また、店舗管理者として登録販売者を認めた点などは重大な規制緩和といえる。施行に向けた販売体制、情報提供等に関する具体的な詰めが検討会にて行われているが、引き続き監視が必要である。
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