定期刊行誌は評論と広告を分離する明白な編集方針を欠いている
2005-04-28
定期刊行誌は評論と広告を分離する明白な編集方針を欠いている
(キーワード: 定期刊行誌、編集方針、評論と広告の分離)
ネイチャー誌2005年3月31日号(434,549)に、「定期刊行誌は評論と広告を分離する明白な編集方針を欠く」の記事が掲載されています。そして広告主の圧力のかかる編集者を支援するために、定期刊行誌が広告主、スポンサー、企業との関係を含む編集方針を明確化していく方向を勧めています。以下はその概略です。
生物医学誌の5つに2つは、編集者の調査結果によれば、どのようにして評
論と広告記事を分離するかについて、編集方針を公表していない。多くの
編集者が、製薬企業が定期刊行誌の内容に影響を及ぼそうとした経験をも
つと語っている。
調査は、ロンドンに本拠をおく定期刊行誌の編集者と出版者の団体である
出版倫理委員会(COPE)の350人のメンバーを対象に行われ、彼らの雇用主が
評論と広告記事を分離する編集方針を公表しているかを質問した。2005年3
月11日までに受け取った118の回答は、回答誌の39%がそうした編集方針を
もっていないことを示した。
BMJ出版グループの出版制作責任者であるアレックス・ウイリアムソン氏は、
記事の別刷りが編集や財政問題をもつれさす1領域だと語った。製薬企業が
大量の別刷りを購入するケースである。定期刊行誌にとっては非常に経済
的恩恵があるからだ。
編集者の一部からは、製薬会社が定期刊行誌の内容に影響を及ぼすよう、
巧妙な働きかけが増えているので、それらを凌ぐのを助けるため、公式な
編集方針が求められているとの声があった。記事に隣り合わせたページへ
の広告掲載も危険だと編集者たちが論じている。
BMJやランセット誌のような大きな医学雑誌を含むいくつかの定期刊行誌は、
掲載する広告の内容が事実かどうかをチェックしている。しかし、小さな定
期刊行誌はしばしばそのようなチェックを行う人員を有していないと、COPE
メンバーは語っている。引用されている文献にまで当たって検討するのは大
きな労力が必要だからである。
何人かの編集者は、製薬企業などに不利な記事を掲載したときに、起こるか
もしれない災難を恐れている。2000年にニューヨークの生命倫理研究所であ
るハスティングス・センターが研究所ジャーナルに、ウェールズのカーディ
フ大学精神医学主任教授のディビッド・ヒーリー氏による抗うつ剤に批判的
な記事を掲載した。何か月後に、リリー社が「ヒーリー氏の記事は不正確で
バランスを欠いている」として、研究所に対する年間2万5千ドルの助成金の
打ち切りを通告した。
COPEメンバーは、圧力のかかる編集者を支援するために、定期刊行物が歳入
動向に関係する広告主、スポンサー、企業の関係を含んだ編集方針を作成す
ることを示唆している。編集方針は、別刷り販売のような問題が同分野の専
門家による評価過程に影響すべきでないことや、広告が正確さをチェックさ
れるべきことを強調したものとなるだろう。
(T)
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