アラバ(レフルノミド)の投与量設定の不備を多くが指摘
2005-03-31
アラバ(レフルノミド)の投与量設定の不備を多くが指摘
(キーワード: アラバ、レフルノミド、投与量設定、初期負荷量設定)
関節リウマチ薬アラバ(レフルノミド)は、市販後間質性肺炎の重篤な有害副作用が問題となっています。これに関連して、投与量設定、とりわけ初期付加量設定に不備があったのでないかとの指摘が、メディカル・トリビューン(2004年12月23日号)、日本臨牀(
2005年1月増刊号)、Medical Practice(2005年3月号)、最新医学(2005年3月号)などの各誌や学会報告などで相次いでいます。
ここでは日本臨牀誌から紹介します。
「日本臨牀」誌が、2005年1月28日発行で臨時増刊号「関節リウマチ 成因研究から治療の新時代へ」を出版しています。臨時増刊号とはいえ、740ページ程もある分厚い本です。
そのなかに、東京女子医大膠原病リウマチ通風センターの中島亜矢子さん、山中寿さんが、間質性肺炎問題などを分析した記事があります。そこにはこう書かれています。
通常、レフルノミドは100mg連日3日間の導入量投与後、20mgない
し10mgの連日投与が行われる。最近、週1回100mgのレフルノミド
投与は20mg連日投与と有効性には差異はなく費用的には優れてい
るとする論文もある*。現在の時点では、我が国では基準に従いレ
フルノミド単独で100mgを3日間投与後20mgないしは10mg連日投与
のみの投与法を遵守することが求められているが、レフルノミドの
至適投与量についての検討は十分とはいえず、今後も検討される必
要があると思われる。
*Rhematoid arthritis treatment with weakly leflunomide
: an open-label study. J Rheumatol 31,235-237,2004
著者たちは、日本でレフルノミド投与時に間質性肺炎が多発した理由について、次のような点ををあげています。
1.日本では欧米に比し、関節リウマチで間質性肺炎の発症率が高い。
[引用者注:疾患の主要な関節外病変という観点です]
2.間質性肺炎の発症が少ないとの事前情報に基づき、間質性肺炎の
既往のある患者にレフルノミドが集中的に投与された。
3.レフルノミドの投与量が日本人にとっては多い。
4.間質性肺炎と診断された症例の中に、ウイルス性肺炎、カリニ肺
炎などレフルノミド以外による間質性肺炎が混じている。
5.レフルノミドに対する市販後全例調査を実施したため、検出率が
高まった。
著者たちは、「事前に間質性肺炎を全く認めなかった症例にもレフルノミド開始後間質性肺炎が出現していることから、現在その成因が詳細に検討されている」とも記しています。
(T)
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