臨床試験に関する情報開示の動きが欧州でも強まる
2004-10-21
臨床試験に関する情報開示の動きが欧州でも強まる
(キーワード: 臨床試験成績公開、臨床試験登録、欧州、EU)
米国ニューヨーク州当局が2004年6月にグラクソ・スミスクライン社を情報操作で提訴(※1)して以来、米国では臨床試験結果の透明性を高める動きが急速に高まり、製薬企業の業界もこれに対応した動きを示しています(※2、3)。
この動きは、米国のみならず欧州(EU)でも同様であることが、以下のスクリップ誌の記事(2004年9月22日号、5ページ)から伺われ、日本では製薬企業がどのように対応するのかが注目されます。以下は記事の要約です。
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ドイツの大手製薬企業で構成される業界団体VFA(ドイツ研究開発
型製薬工業協会)は、臨床試験データの情報開示を推し進めていく
ことに賛同し、この開示をEU(欧州連合)の新しいデータベース・シ
ステムで行うことを示唆した。
現在創設されつつあるEudraCTデータベースは、EUにおいて開始す
るすべての臨床試験を登録するようスポンサー(製薬企業)に要求し
ている。EudraCTデータベースは、今はまだ企業と規制当局しか利
用できないが、VFAは一般市民がこれにアクセスできるよう公開さ
れるだろうと示唆した。VFAはまた、データベースをEU以外の国々
もアクセスできるようになるだろうと語った。
VFAの示唆は、医学誌編集者国際委員会(ICMJE)がすべての臨床試
験を開始時に登録するよう求めた提案(※4)に応えたものである。
ICMJEは試験結果の情報開示を促進するために登録を求めている。
VFAは、試験結果の情報開示については、EUで承認される全製品の
データベースとして提案されているEuroPharmでの公開を念頭にお
いている。「個々の加盟者がそれぞれのデータベースを創設する
のは公衆にとって透明性が良いものではない。われわれは、人々
が情報を見つけることが可能な単一のデータベースを望んでいる」
と、VFAのスポークスパースンは語った。
VFAの動きは、スウェーデンの業界団体であるLIF(スェーデン製薬
工業協会)が行った、米国での動きに対応して臨床試験データの情
報開示を促進しようという呼びかけに応じたものである。ノルウェ
ーの業界団体LMI(ノルウェー製薬工業協会)も、スウェーデンのLIF
の呼びかけに賛同を表明した。LMI専務理事のChristian Rolandは
記者会見で「医学誌編集者国際委員会(ICMJE)の示唆にわれわれが
応える上で、何の問題も存在しない」と語った。
(T)