カナダからの安価な医療用医薬品の輸入(米国)
2004-09-30
カナダからの安価な医療用医薬品の輸入(米国)
(キーワード: 医薬品価格の高騰、米国、カナダからの輸入、生物テロ)
医薬品の公定価格制をとるカナダに対し、米国は自由価格制で、医薬品価格は高騰を続
けていますが、2004年8月30日の日本経済新聞に次の記事が載っていました。
カナダなどからの医薬品輸入をめぐり、米国の州、市など地方自治
体と連邦政府の間の対立が激化している。医療費高騰に苦しむ住民
を抱える自治体が米食品医薬品局(FDA)の制止を振り切る形で、格
安医薬品の輸入仲介を相次いで始めたためだ。バーモント州は今月
19日、輸入禁止は不当としてFDAを提訴した。大統領選ではケリー
民主党候補が解禁を主張しており、医薬品輸入の是非は大きな政治
課題になってきた。
これに関連した記事ですが、ネーチャー誌2004年8月19日号が、巻頭言として「カナダ
を非難しよう(Let's blame Canada)ー米国人は隣人のことを心配するよりも、公衆衛生
を守る自国の行政者の威信についてより心配した方がいいようだ」を掲載しています。
以下は要約です。
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FDAのLester Crawford局長は、格安医薬品の輸入は米国人を生物テ
ロの危険にさらし、国家安全への脅威であると語った。
実際のところ、医薬品輸入は主に政府が価格統制をしているカナダ
からだ。市民が高価格の医薬品費の支払いに嫌気がさしている米国で
は、州当局によるカナダからの医薬品輸入是認が増加している。しか
し、ブッシュ政権は、米国製薬企業の意向を受けて、そうした輸入の
道を閉ざそうとしている。
ここで問題なのは、かって医薬品と食品行政で名声を得ていたFDA
の威信低下だ。今や政治に媚びへつらうプードル犬になっている。
FDAが、医薬品価格と生物テロとを、政治的な動機から結びつけるの
は間違っている。
(T)
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