医療技術評価 (HTA) の遂行のためには既存薬の臨床試験データの開示が不可欠
2013-12-03
(キーワード: 医療技術評価 (HTA)、EUnetHTA、臨床試験データ開示、欧州医薬品庁(EMA)、効果比較、企業秘密)
EMA(欧州医薬品庁)は、2014年1月から開始するの「医薬品臨床データ情報公開政策」について、2013年9月30日を期限として、パブリック・コンサルテーション(日米におけるパブリックコメント)を実施した。
これに関連し、スクリップ誌が、2013年10月16日、「HTA(医療技術評価)が適切に行われるためには、現在市場にある医薬品の臨床試験データが必要である、との意見がEMA(欧州医薬品庁)に提出された」とのタイトルで記事にしている。
欧州では、製薬企業が、EMA(欧州医薬品庁)の承認した医薬品の臨床試験データは情報開示するとの政策に対して抵抗し、また、欧州裁判所が、企業の提訴に対し、暫定的ではあるものの企業の要求を認める裁定を下すなど、緊迫した状況となっている。
今回のスクリップ誌による報道は、欧州の状況の一端を伝える興味深いものである。以下要約を紹介する。
なお、要約中に出てくる『EUnetHTA』は、欧州委員会と閣僚理事会がHTA(医療技術評価)を優先政策として推進することを決定したことに対応して、2004年に設立された加盟各国のHTAを行う政府機関のネットワーク組織体である(※1)。
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EUnetHTA は、2014年1月1日から臨床試験データの積極的開示を行うという欧州医薬品庁 (EMA) の政策を強く支持するが、新薬だけでなく、既存薬のデータにも対象を拡大しなければならない、と述べた。これらのデータは、新薬や新医療技術を、既存薬や既存技術と比較するHTAに不可欠なものであり、HTAを適切に推進するために必要なものである。
EMAの方針では、2014年1月1日に開示が予定されているのは、新たに承認されるか承認を拒否された新薬の臨床試験データであり、患者レベルの生のデータについては厳しい条件下に研究者に対してのみ開示されることになっている。
EUnetHTAは、パブリック・コンサルテーションに対して、「HTAを行う政府機関にとって、完全な臨床試験の情報と結果が、医薬品や他の医療技術の適切で意味のある評価のためには不可欠である」との意見を述べた。
EUnetHTAは、企業が反対理由として主張している�仝朕余霾鵑諒欷遒鉢�企業秘密 (commercial confidentiality)の保護の2点に対して、�，砲弔い討賄�切なガイダンスを定めればよいとし、�△砲弔い討蓮◆嵶彎音邯灰如璽燭牢覿犯詭�ではなく、公衆衛生上の利益が企業秘密よりも優先する」とするEMAの言明を強く支持するとしている。
EUnetHTA は、EMAの情報開示政策を歓迎するだけでなく、、さらに既存薬臨床試験データへの対象拡大を強く求めるなど、EMAの更なる前進を望んでいる。そうした要求は、多数の消費者団体や市民活動家グループも同様である。
EUnetHTA、消費者団体や市民活動グループの主張は、当然である。しかし、それらの主張は、欧州製薬協EFPIAや米国製薬協PhRMAの主張とは、正反対のものとなっている。
EMAは、3か月のパブリック・コンサルテーション期間に、150の団体・個人から1000を超えるコメントを受け取っている。EMAは、これらの意見について精査中であり、12月12日の管理委員会の承認を経由して2013年末には政策が確定される予定となっている。
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(T)
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