前臨床試験論文にも不正が多く、データの公表が重要課題
2013-07-25
(キーワード: 試験結果の操作、前臨床試験、データの公表)
年間1000億円を売り上げたノバルティス社の降圧剤ディオバンの、他剤に対する優越性の根拠として用いられた有名誌掲載論文に不正があったことが社会問題となっている。
これは臨床分野のトピックであるが、それでは前臨床試験分野の論文は信頼できるのだろうか。
フランスで発行されているプレスクリル・インターナショナル誌2013年5月号は、Nature誌の記事を引用して、前臨床試験結果の不正に警鐘をならすとともに、基となったデータの公表を求めている。
以下は論説の要旨である。
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今世紀の初頭、製薬企業による臨床試験結果の不正が多く報じられた。
しかし、2012年、今度は企業内の研究者が、社外での前臨床試験結果の不正を嘆いている。
Amgen社の企業内研究者チームは、自らもしくは外部に依頼して、有名誌に報告された血液学と腫瘍学の53の論文の検証を行った。
しかし、その検証の結果、再現性を確認できたのは、53の実験のうちわずか6だった(Nature 2012: 483; 531-3)。
また、Bayerのチームは、前臨床の実験(その70%は腫瘍学領域)のうち、再現性を確認できるのは4分の1に過ぎないとしている(Nature誌2005: 435; 737-8)。
この広範囲に及ぶ不正は科学者たちの間に存在する個人的な成功をめざす競争の結果である。
そうした風潮が科学者たちに研究結果をインパクトの強いジャーナルに掲載するよう駆り立てている。
Amgen社の科学者は、前臨床試験論文を出版するプロセスについて、
�＿奮惻圓蕨席犬里發箸箸覆辰織如璽燭鬚垢戮童�表すべきである、
�∧�析は独立して行われるべきだ」、
��最初の仮説が誤っていたものを含め、すべての結果を出版させるべきだ、と提案している。
前臨床試験であれ、臨床試験であれ、これらの不正は、決して容認できない。
それらは患者の利益に配慮せず、自己や企業の利益を無節操に追求したものである。
名の知られた雑誌に掲載されたからと言って、それだけで信頼するのは、もう止めるべきである。
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利益相反とは、公正になされなければならない判断が、金銭的な利害関係や個人的な成功への願望などでゆがめられる可能性のある状況をいう。
前者を金銭的利益相反(Financial Conflicts of Interest)、後者を心情的利益相反(Intellectual Conflicts of Interest)という。
医薬品の開発では、これら2種類の利益相反が、単独または両方が関連して重大な影響を及ぼし、国民の生命と健康を損なう危険がある。
医薬品はその多くが民間の営利企業によって開発されるだけに、利益相反の管理がとりわけ重要である。 (T)
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