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「フランスで販売されている医薬品の半分は無用」フランスの医師の新著が批判

2013-01-09

(キーワード:メディアトール薬害、フランスの医薬品行政改革、医薬品ガイド)

 フランスではメディアトールスキャンダルで医薬品行政の見直しがされた(※1、2,3、4)が、9月13日フランスで出版され、ベストセラーとなっている2人の指導的医師による書籍によれば、フランスで販売されている医薬品の半分は無用で150億ユーロが無駄になっており改革の方向性は評価できるが、多くの人々が期待するより遅いとされている。

 BMJ電子版2012年9月17日(French government wastes €15bn a year on useless drugs, book claims)は著者達の主張を以下のように伝えている。

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 フランス市場で販売されている医薬品の50%は無用で、潜在的に危険なものが5%含まれる。しかし、それらの75%は社会保険システムの対象となっており、フランスは毎年150億ユーロを無駄遣いしている。

 患者は、高血圧、糖尿病、喘息、および癌などに何の効果もない薬を処方されている。新しい医薬品ガイド(A Guide to 4000 Useful, Useless and Dangerous Medicines)は、医薬品産業があまりにも多くのパワーを持っているフランスにおいて、患者と医師に対して客観的で独立した分析を提供するようにデザインされている。フランスの製薬工業は世界で最大のものの1つであり、新しく、有益な薬を作成せず、代わりに、効果のない治療薬を売ることから利益を得る約200の小さな研究所を持っている。

 規制のシステムはうまくいっておらず、医薬品産業は、あらゆるレベルの規制の意志決定に大きく影響している。フランスは他のどのヨーロッパの国よりも多くを薬を使うが、benfluorex(メディアトール)が少なくとも500人の死者を出したことが明らかになったことで、多くの人々は国家の大きな医薬品消費について疑いはじめた。

 このスキャンダルをきっかけに医薬品安全対策と利益相反の管理を強化した医薬品行政改革法案が12月に提出されたが、改革のスピードは多くの人々が期待するより遅い。フランス市場にあるすべての医薬品の再評価が必要である。

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 この新しい医薬品ガイドがフランスでベストセラーになっているのは、メディアトールスキャンダルとそれに続く医薬品行政改革で市民の間に関心が高まっていることが反映している。米国では、パブリックシチズンが出版している「WORST PILLS、BEST PILLS」という書籍がベストセラーとなっており、日本でも医薬品を厳しく評価する同様の書籍が出版されておりベストセラーになることを期待する。 G.M