医薬品の害反応(副作用)は医師と患者の両方からの報告が補完
2004-08-26
(キーワード: 医薬品の害反応報告、患者からの害反応報告)
前回の注目情報で、英国政府が医薬品市販後の害反応(副作用)調査で、はじめて患者からの直接報告を正式に受け入れる方針を明らかにしたとの情報を紹介しました。医薬品の害反応報告は、医師からのみでは不十分で、その害反応を直接体験した患者からの報告を重視しなければ完全なものとはならない、これは考えれば当たり前すぎるほどのことなのですが、そうなっていないのが医療の現状です。そうしたことを反映して、次のような記事がニュースになっています。
抗がん剤の有害反応報告は、医師と患者の両方からの報告が補完しあうことを示した、2004年6月の米国臨床腫瘍学会(ASCO)での発表です(※1)。
以下は要約です。
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オレゴン健康科学大学がん研究所の研究者たちによる調査では、が
ん化学療法臨床試験に参加した患者が経験した害反応(副作用)症状
の約半分は、医師によって報告されていない。一方、医師が記録し
た害反応症状の約半分は患者が報告していない。
医師が見逃している症状で多いものは、呼吸切迫と食欲不振であっ
た。医師と患者の両方が報告している症状で多いものは、悪心、嘔
吐、下痢、疲労であった。
研究者たちは、他の領域では患者からの報告は有害反応報告のゴー
ルドスタンダード(重要な基準となるもの)とされているが、がん治
療の分野ではそうなっておらず、今後の臨床試験に当たっては患者
からの報告が取り入れられるよう、配慮が必要と語っている。
(T)
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