FDA透明性推進タスクフォースが立ちあがりパブリックシティズンが証言
2009-08-25
(キーワード: FDA透明性推進タスクフォース、公聴会、パブリックシティズン)
FDA(米国食品医薬品庁)の新首脳となったマーガレット・ハンバーグ長官とジョーシュア・シャルフスタイン副長官が、医薬品分野で最初に取り組んだ仕事が、情報公開を進める方策を検討する「FDA透明性推進タスクフォース」の設置である。タスクフォースは新しい計画や事業のための特別チームで、議長にはシャルフスタイン副長官が就任した。タスクフォースは2009年6月24日に公聴会を開催したが、この日の医薬品監視団体パブリックシティズン・ヘルスリサーチグループのピーター・ルーリー氏とヒラリー・ピァボディ氏の証言(※1)の要旨を紹介する。
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透明性推進タスクフォースの運営とパブリックシティズンが証言する機会を提供いただいたことに感謝する。今日は、3つの主要点、1)医薬品の承認前情報書類は公開すべきこと、2)FDAの情報公開法(FOIA)によるプロセスはもっと効率よく一貫したものとすべきこと、3)患者に対する医薬品情報提供の標準化を急ぐべきこと、について証言する。
1) 医薬品の承認前情報書類は公開すべき
医薬品の承認前情報書類は、2009年6月現在で、諮問委員会にかけられる品目を除けば承認前には何も公表されない。一方、製薬企業はそのおいしい部分を拾い上げ公表している。皮肉なことに、患者や医師がこの製薬企業が選択した情報にミスリードされる(誤って導かれる)一方、投資家には全般的な当を得た情報が提供される。投資家は提供された情報がミスリードしていると考えれば裁判所に提訴できるが、患者や医師にはそんな機会は与えられていない。パブリックシティズンは、無駄な研究の重複や情報が公開されていないことでこうむるリスクを避けるためにも、第Ⅰ相から第Ⅳ相にわたり臨床データが科学・医療コミュニティに迅速に公開されることを求める。
2) FDAの情報公開法(FOIA)によるプロセスはもっと効率よく一貫したものとすべき
FDAの情報公開法への対処には、製薬企業の利益を公衆衛生の必要性よりも優遇する姿勢とともに、取扱いに一貫しないブレもみられる。これらは改められるべきである。
3) 患者に対する医薬品情報提供の標準化を急ぐべき
FDAはConsumer Update(患者・市民向けの最新情報提供サイト)をしばしば更新するなど努力はしているが、FDAが規制している医薬品について素人にわかりやすく情報提供できているかというとまだまだである。FDA再生法によって新たに設置されたリスクコミュニケーション諮問委員会が、現在いくつもの様式がある患者向けの処方せん薬の説明書をひとつのわかりやすい様式のものに統合するよう、2009年2月27日の採決で全員一致で推奨した。FDAは諮問委員会のこの推奨の具体化を急ぐべきである。
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「秘密主義の終わりがFDAを蘇らせる」とは、注目情報(※2)で紹介したニッセン教授の言葉であるが、FDA新首脳が初めて取り組んだ仕事が透明性推進タスクフォースの設置であり、その公聴会で医薬品監視団体パブリックシティズンが証言を求められていることは、今後のFDAにおける情報公開の進展に期待を抱かせるものである。
承認前情報の公開、市民の情報公開請求への対処の問題は、公衆衛生の必要性を優先するのか、企業の利益を優先するのか、日本でもまさに問われている熱い課題である。
処方せん薬の患者向き説明書は、日本ではインターネットに情報提供のサイト(※3)が置かれたが、実際に情報が患者・市民に届き役に立っているかの検証が必要であろう。 (T)