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「4才児以下への投与自粛では、OTCかぜ薬の害から子どもを守れない(パブリックシチズン)」

2008-12-24

[キーワード:OTCかぜ薬、FDA小児諮問委員会、パブリックシチズン、自主規制]

 かぜシーズンを目前にした10月7日、米国のOTCかぜ薬業界は、4才児以下への投与を控えるようにラベル変更をしていく方針であることを発表した。しかし、これに対してパブリックシチズンは、業界団体のこういった自主規制は、あたかも子どもを守るように聞こえるが政治的なものであり、FDAによる規制強化の引き延ばしをねらったものだと述べた(※1)。昨年、2才児以下への販売を自主規制すると主張した業界の実態が危惧すべきものだったからである(註1)。昨年来、問題になっている子ども用かぜ薬について、FDAの煮え切らない態度にパブリック.シチズンは業を煮やしているようである。今回のステートメントでは「FDAは迅速に規制権限を発揮すべきであり、12才以下で安全性と有効性を示すデータが出せないなら、12才以下のかぜ薬を市場から撤去すべきだ」としている。
 昨年の諮問委員会(処方不要薬と小児諮問委員会のジョイントミーティング)の結論は、6才以下の子どもにかぜ薬を投与すべきではないということであったが、FDAが表明したのは(2008.1.17)、2才以下には使用すべきでないが、11才までについては審査結果が出るまでは使用してもよいとしたのである。10月2日に行われたFDAの「子ども用かぜ薬」のヒヤリングでパブリックシチズンは、OTCかぜ薬の害作用報告や「通常のかぜには、効果が有るという明確なエビデンスはない」と述べたFDAの医療担当官の報告(2007.7.24)を引用し、有効性がないもので害作用を受けることはあってはならないとしている(註2、※2 )。

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 日本のOTCかぜ薬の添付文書をみると、服用不可の年令制限は1才未満、5才未満など、ばらばらであり「3ケ月以下」まである。子どもたちへの安全性と有効性の評価が定まっていないのは日本においても米国と同様で、対処が遅れている日本の現状は重大な問題である。(S)



註1 パブリックシチズンがワシントンの薬局を調査したところ、「2才以下使用不可」を述べているのは24%であった。薬のパッケージに新生児やよちよち歩きの絵がついていたり、滴下器具やシリンジが附属品として付いているものもあり、これは、「これらの子どもに使いなさい」というメッセージにほかならない(※2) 。

註2 報告例(※2 )
*2006年アリゾナ州では予期しない死亡幼児90人のうち10人はかぜ薬の服用が関連していた。
*致命的症状で救急搬送された子供の5%がかぜ薬であった。
*薬関連で救急搬送された12才以下の子供のうち、6%がかぜ薬であった。