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米国NIH(国立衛生研究所)所員の利益相反問題はまだ解決していないのか

2008-12-24

[キーワード: 米国NIH(国立衛生研究所)、利益相反]

 産学連携促進のもとで、1995年以来米国NIH(国立衛生研究所)の研究者たちが、製薬企業やバイテク企業から多額の顧問料を得たり、報酬を株で得たりすることが容認・助長された。2003年、その目に余る状況をマスコミが暴露し、議会が調査に入ったことを契機にNIHでは利益相反の管理が強化された(※1)。
 それから約5年を経過した現在の状況について、スクリップ誌2008年10月31日号が伝えているのでその要旨を紹介する。
 なお日本においては、これに関連するものとして、平成20年3月「厚生労働科学研究における利益相反の管理に関する指針」(※2)の制定があるが、利益相反(COI)委員会を設置して利益相反を管理するようにとの内容で、具体的な管理については研究機関の利益相反(COI)委員会に任されているのが実情である。

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 米国国立衛生研究所(NIH)内の多くの研究所は、その約1万8000名の所員について、利益相反や倫理違反に関する申し立てを処理することになっている。米国保健福祉省の監査総監室(OIG)の新しい報告書によれば、NIHは、2006年1月から2007年6月までの間に受理された申し立てのうち、60%を内部で処理し、そのほか7%(合計39件)については、調査の可能性があるため、OIGに移送した。
 ところが、残りの33%については、NIHは、最終的な解決結果に関する文書を提供しなかったという。OIGは、文書がないことは、必ずしも申し立てが解決されなかったことを意味するわけではないが、文書がなければ、申し立てが解決されたのか、また、適切に、一貫性を持った解決がされたのかなどを検討できないと指摘して、申し立てが最終的にどのように解決されたかを詳しく説明する文書をきちんと保管するよう、NIHに勧告した。 
 さらに、OIGによると、大多数の研究所は、利益相反に関する申し立てを統一的に処理する手続きを文書化していないという。そこで、OIGは、各研究所の倫理担当部署が従うべき手続きを、正式に文書化するよう勧告した。 
 これを受けて、NIHは、OIGの勧告に同意し、2008年8月現在、NIHのポリシーマニュアルに新しい章を設けることによって、OIGからの勧告を実施したと述べた。 (O)


※2 厚生労働科学研究における利益相反の管理に関する指針(平成20年3月31日科発第0331001号厚生科学課長決定)