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FDA医薬品安全性オフィス(OSE)にやっと新薬オフィス(OND)と対等の発言権が

2008-09-19

(キーワード: FDA、医薬品安全性オフィスOSE、新薬オフィスONDと対等の発言権)

 COX-2阻害剤と呼ばれる抗炎症剤の1種ロフェコキシブ(バイオックス)による未曾有の薬害などで、創立100周年を迎える米国FDA(食品医薬品庁)が、危険な医薬品から市民を守れているかその存在意義が問われた(※1)。そうした中で、FDAのCDER(医薬品評価研究センター)におかれたオフィスのひとつである医薬品安全性オフィス(OSE)の地位が低く、市販後安全性についての検討結果をFDA諮問委員会で報告することさえ困難な状況にあることが問題になった。
 2005年、上院財務委員会座長のグラスリー上院議員たちは、医薬品の承認を行った部局が、その承認の否定につながる判断を行うことには困難があり、市販後の安全性担当部局は審査を行った部局から独立した存在であることが必要との考えのもとに、市販後の医薬品安全性に関する独立部局をFDAに新設する法案を議会に提出した(※2)。一方、FDAと米国保健福祉省(DHHS)は、IoM(米国立科学アカデミー医学研究所)に、医薬品安全監視システムを改善する提言を依頼した。2006年、IoMはレポートをまとめ、FDAの改革を米国議会に提言したが(※3)、そのなかでCDER(医薬品評価研究センター)が、新薬審査チームごとにOSEスタッフメンバーを指名し、安全性に関する市販後規制業務を新薬オフィス(OND)とOSEが共同して行うようにすることを提言した。
 このほど、スクリップ誌2008年7月11日号が、「FDAのOSEがONDと”対等の発言権(equal voice)”を与えられた」との記事を掲載しているので要旨を紹介する。
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 最近目立っているFDAによる医薬品安全性監視をめぐる混乱のなかで、自分たちが指摘してきた懸念と推奨が新薬オフィス(OND)によって無視されたとの不満を、医薬品安全性オフィス(OSE)スタッフが公に表明するに至っていた。
 この程、米国FDA合意契約書(memorandum of agreement, MOA)が、決定の必要な重大事項におけるOSEの役割について、ONDと”対等の重みづけ”を与えることで強化した。

 合意契約書は、市販後安全性問題(safety issues)などを取り扱う内部過程を改善するために、FDAの安全性重視改善策(SafetyFirst Initiative)のもとでのOSEとONDの役割と責任を明確にした。合意契約書は、重要な安全性問題がONDとOSEの代表から構成される学際的なチームによって取り扱われ、それらを解決し適当な行政としての対応を決定する上で、2つのオフィスが対等の責任を有することを明記した。
 重要な安全性問題とは、医薬品の市場からの撤去、適応の削除、一定の患者集団への使用制限、添付文書での警告・注意の変更、パッキングや名称の変更、リスク評価・リスク緩和戦略(REMS)の確立または修正、薬物治療ガイドの追加・修正、市販後臨床試験または疫学観察研究の製薬企業への実施要求などにつながる事項を指すと定義された。OSEは、疫学的研究、医薬品名の再検討、薬物治療過誤の防止について、行政としての対応を決める上で先導的な役割が期待されている。
 ONDとOSEとの意見が一致しない場合は、問題の解決についての異なった選択についての適切な記録書類とともにCDER(医薬品評価研究センター)の長に持ち込まれると、定められている。  (T)