FDAは製薬企業が添付文書で安全上の警告を行うのを不当に制限してはならない(パブリック・シティズン)
2008-06-20
(キーワード: 安全上の添付文書での警告、FDAの承認のあり方、パブリック・シティズン)
市販後の医薬品添付文書の改訂、とりわけ安全上の警告については、必要なときに適切な改訂を行うことができるよう、規制当局が柔軟に対応することが期待される。
米国では、危険性の警告に関する添付文書の改訂については、従来は、食品医薬品庁(FDA)が、企業によって不適切な改訂が行われた場合それを無効にする権限を有することを明確にした上で、FDAが企業による添付文書改訂の申請を承認する以前でも、企業が添付文書を改訂することを認めるなど、比較的柔軟に対応してきた。
ところが、FDAは、2008年1月16日付けの官報で、企業が添付文書の記載を改訂することができるための条件を厳しく定める規則提案(Proposed Rule)を行った (※1)。これは添付文書の改訂に関するFDAの柔軟な対応を制約し、添付文書の改訂をしにくくする。そこで、これに対し、米国の医薬品監視団体パブリック・シティズンが、FDAに提案の撤回を求める意見をパブリックコメントで提出している(※2)。
その要旨を紹介する。
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FDA再生法2007での議論のポイントは、FDAが医薬品の安全性に関する緊急な課題で、迅速適切に対応することに失敗してきたことであった。そのことでFDA再生法2007は、必要な添付文書改訂を製薬企業に命じる権限をFDAに付与したのであった(※3)。
FDA再生法2007に先立ち、米国科学アカデミー国立医学研究所は、「FDAと製薬企業は公衆に対し、医薬品の安全性について迅速かつ適切に情報伝達する説明責任と情報公開を果たしていない」と結論している(※4)。
しかし、より多くの情報提供を求める声が高まっている中で、FDAはこれに逆行して、製薬企業が安全上の添付文書改訂を求められる条件を不当に厳しくする規則提案(Proposed Rule)を官報で行った。
その内容は、1. 警告は医薬品と副作用との「因果関係」を証明する情報に基づくものであること、2.「新たに得られた情報」を記述するものであること、というものである。しかし、何より大事なのはそうしたことではなく、医療従事者や患者に重大な危害の可能性について適切な警告を迅速に行うことである。
われわれは、FDAが今回の考慮の足りない提案を撤回するよう求めるものである。 (T)