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製薬会社の医師もてなし情報公開法を超党派有力議員が米議会に提出

2007-11-16

(キーワード: 製薬会社の医師もてなし情報公開法、米議会に提出、グラスリー、コール)

 2007年8月の注目情報(※1)で、米国ではすでにいくつかの州が製薬会社の医師へのもてなしについてその情報公開を求める法律を制定していること、合衆国全体でも法律制定に向けて、上院高齢者問題特別委員会が公聴会を開催するなど活発に動いていることを紹介した。2007年9月6日、この法律「医師支払いサンシャイン法」(S.2029、※2)が、上院に提出された。法案を提出したのは、上院財務委員会の長老メンバーであるチャールス・グラスリー議員(共和党)と上院高齢者問題特別委員会の委員長であるハーブ・コール議員(民主党)ほかの、超党派有力議員である。ニューイングランド医学雑誌2007年11月1日号が「医師と製薬企業ーー大きな影響を与える関係の吟味」のタイトルでこれを記事にしている(※3)ので、要旨を紹介する。
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 提出された法案は「医師支払いサンシャイン法」と呼ばれている。「ヘルスコスト(医療費)を増大させる大きな要因である医師に対するもてなしに使われた支払いを、太陽の光のもとに明らかにする」という意味でこのように命名されている。
 法案は、1億ドル(約120億円)以上の年間収入がある製薬企業・医療機器企業に、 無料の夕食、リゾート地への招待、顧問料などどのような形であっても、医師に支払った金額を公開するよう求めている。
 ミネソタ州(1993年)、バーモント州(2003年)など、州レベルでの情報公開の試みが、今や流れを形作っており、今回の連邦レベルでの法制定を求める動きにつながっている。
 医師の企業との関係の本質、程度、そのもたらすものは、今日の医療問題において最も激しく議論されている事項のひとつとなっている。
 ほとんどの医師は、もてなしを受けたからといって、実地診療に影響はないと主張しているが、処方内容に影響を及ぼすというデータが示されている。何にも影響しないのなら、企業が毎年190億ドル(約2兆3000億円)もこれに支出するわけがないのである。
 医師と企業との関係がもたらすリスクについての関心が高まり、連邦、州、団体による施策立案を促してきた。上院に法案が提出されたと同じ日に、ボストン大学医学部とボストン医学センターが、企業から医師がギフトを受け取ることやキャンパスで食事を供されることを禁じ、また病院の採用薬選定委員会の企業との金銭的関係を禁じる、新たな利益相反施策を発表した。同様の施策がミシガン医科大学、ペンシルバニア大学、エール医科大学、スタンフォード医科大学、カイザー・パーマネンテなどでとられている。  (T)