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韓国が保険償還する医薬品をリストに載せるポジティブリスト・システムを施行

2007-02-28

(キーワード: 韓国、保険償還医薬品を評価決定するシステム施行、ポジティブリストシステム)

日本では、避妊薬など一部の医薬品を除いて、販売承認された医薬品は全部が保険薬として薬価基準のリストに収載され、薬価全額を保険で面倒をみるシステムである。
しかし、医療費の高騰のなかで、各国は保険で面倒をみる医薬品を評価決定するシステムを定めたり、また全額を保険償還するのでなく、その医薬品の重要性に応じて保険償還する割合を決定するシステムを定めている。保険償還する医薬品を定めるのが「ポジティブリスト・システム」、保険償還しない医薬品を定めるのが「ネガティブリスト・システム」である。これらは、「医療費の抑制」と「医療の質の向上」を同時にはかる方法としても機能している。
隣国の韓国政府は、昨年6月、同国の保険システムにこの「ポジティブリスト・システム」を導入することを発表、これに対し製薬企業から強い反対の声が上がっていた。また、
米国も新薬の輸入に対する非関税障壁となり自由貿易に反するとしてこれに疑念を表明、米韓両国の自由貿易協定(FTA)交渉がこのことで一時中断するという事態ともなっていた。その後、米国は韓国の「ポジティブリスト・システム」を是認する方向に態度を修正、政府は製薬企業との交渉に入っていた。
 国際医薬品情報誌スクリップ誌2007年1月17日号が、このシステムが同国で実施に移されたことを伝えている。最近、米国が各国保険システムでの医薬品使用に対し、自由貿易協定の立場から圧力をかけ介入することが続出し、各国の保険システムを揺るがすものとして問題となっているが、隣国での「ポジティブリスト・システム」がいよいよ実施に移されたことは注目される。以下は記事の要旨である。

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韓国では、先発品とジェネリック医薬品の両者が、「ポジティブリスト・システム」を発足させる国民健康保険法改正のもとで、先発品の特許が切れると20%の価格低下に直面させられることになった。新たなシステムはこの1月から施行されたもので、これまで予想されていたとおりのものであった。ジェネリック品の価格は先発品の80%以下と定められている。
 ポジティブリストへの収載と薬価は、国民健康保険法人の専門諮問委員会が検討して提案、厚生省が企業と折衝などして決定する。基準としては費用対効果が最も重視される。すでに約740製品が保険償還から外された。さらに約7300製品がまもなく保険償還から外される。新薬も販売承認されても自動的には保険償還を保証されず、費用対効果と治療上の便益を証明せねばならない。 (T)

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