注目情報

  1. ホーム
  2. 注目情報

患者団体と製薬企業の間にみられる利害の衝突

2006-12-13

(キーワード: 患者団体、利害の衝突、製薬企業とのタイアップ)

 クェート大学の薬学者と医療消費者問題に詳しい英国の薬理学者アンドリュー・ヘルクスハイマー氏による最近の調査では、さまざまな患者団体が製薬会社から寄付を受けとっており、利害の衝突に関係して、不当な影響を被るおそれのあることがわかった。患者団体のウェブサイトは、製薬会社との利害の衝突関係があるかについて閲覧者が判断するのに必要な情報を提供していない。調査結果の論文は「BMC(バイオメド・セントラル)公衆衛生」(オンライン誌)に掲載されている(※1)。以下は論文の要旨である。

-----------------------------------------------------------

調査はウェブサイト上に登場する主だった患者団体に関して行われ、広告や公表された製薬会社からの財政的支援情報をもとに検討された。調査の方法は、まず、一定方式でGoogle検索を行い、10種類の疾病に関連する、国内・外の患者組織69団体が特定された。

これらの団体のウェブサイトをみると、その組織の特性や対象者、目的などは明確に示されていたが、資金をどのようにして得ているかについて明示しているのは3分の1にすぎなかった。広告や利害の衝突についてきちんとした方針を述べているものは69団体中4団体だけだった。一般的に、サイト上の広告はなかった。54%のサイトは年次報告をしていたが、会計報告や寄付出資者の公表についてはまちまちだった。年次報告に企業献金を明細資料として示しているのは7/37だけであり、基金の中で製薬企業からの額がどれくらいかを示したサイトは全くなかった。患者団体の45%は製薬会社からの基金を受けていることをウェブサイト上に公表しているが、その年次報告をみるとそれ以上の会社名があげられていた。3分の1のサイトには少なくとも一つ以上の製薬会社のロゴや製薬会社との間にリンクが張られていた。10%のウェブサイト上には製薬会社の紹介があり、中にはある特定の商品をモニターしているところもあった。

患者団体が独立性を保ち、患者の利益や患者の視点を代表する組織となりたいのであれば、製薬会社との関係をどうするか組織やスタッフの守るべき倫理綱領も必要だろう。多くの組織が製薬会社の寄付に頼っているところから、自己規制だけでは不十分であり、独立した第三者組織の監視団体がこれを求めるべきだろう。 (B)