米国での基準を下回るフッ素濃度でも健康への害作用が
2006-08-02
(キーワード: 米国科学アカデミー研究評議会(NRC)、水道水フッ素化、
フッ素濃度、有害性)
米国科学アカデミーの研究評議会(NRC)がこのほど、多くの米国人が有害な量のフッ素にさらされていると警告する576ページの報告書をまとめた。公表時の記者発表を和訳している(※1)。
米国では従来、環境保護庁(EPA)が飲料水のフッ素濃度4ppmを安全基準としていたが、NRCは多くのエビデンス(科学的証拠)に基づいて、2〜4ppmのフッ素濃度で歯牙フッ素症
が増加し、他の障害にもつながることを示し、EPAの安全基準を下げるよう勧告した。
水道水に添加するフッ素量は米国では0.7-1.2ppmであるが、小児は体重あたりで成人の3-4倍もの水を飲み、スポーツをする人や屋外で仕事をする人も多くの水を飲み、腎臓の機能が低下している人ではフッ素の蓄積が多くなる事実も認めている。また、多くの食物や歯磨きなどもフッ素を含み、総量に影響を与える。
甲状腺障害への影響では、1ppmの低フッ素地域においても多くの米国人(とりわけ小児)が影響を受ける量に達していることを示した。専門家は、今回のNRCの報告書が長年続いてきたフッ素をめぐる論争に、重要な変化をもたらすものであることを指摘している(※2)。
当薬害オンブズパースン会議では、水道水へのフッ素添加(※3)、フッ素洗口(※4)に反対を表明している。今回のNRCの報告書は、日本におけるフッ素洗口などによる総フッ素摂取量が人体に及ぼす危険性を考える上で参考となる。 (K)