ベルギーが医薬品広告規制法の強化へ
2006-06-13
(キーワード: 「疾病啓発広告」、「裏口」からのDTCA、ベルギー、医薬品広告規制法強化)
現在、医療用医薬品(処方せん薬)の患者・市民への直接広告(DTCA)を認めているのは、米国とニュージーランドの2か国だけである。しかし、日本も含めてDTCAと意図を同じくする「疾病啓発広告」が増えている。今回は、これに厳しく対処している国として欧州のベルギーの状況を、BMJ誌2006年5月13日号から紹介する。以下は記事の要旨である。
ベルギー政府は、消費者団体と医師たちが組織した財団との激しい応
酬の後、特定の疾病に対する医薬品や治療の広告を規制する現行法を、
より厳しくする準備を進めている。
ベルギーでは、社会保険システムで保険償還される医薬品の広告は、
法律で禁じられている。保険償還されない医薬品の広告は許されてい
るが、その場合でも広告内容はあらかじめ特別委員会の承認を得なけ
ればならない。
今回問題になった広告は、水虫についてのもので、医薬品名を特定せ
ず、水虫の症状がある人たちに受診を勧めるものであった。これに対
しベルギーの代表的な消費者団体Test Achatstが強く批判した。水虫
の疾病啓発キャンペーンを行ったのは、Hodie VivereというNPO(
特定非営利活動法人)の医師たちが組織した財団であった。
Test Achatstは、キャンペーンが事実上テルビナフィン(商品名ラミシ
ル、ノバルティス社)の「裏口」からの広告になっていると主張してい
る。テルビナフィンは保険償還される医薬品であり、2002年に水虫の
治療にはそのほぼ80%にテルビナフィンが用いられている。Test
Achatstは、 消費者保護省に正式に苦情を申し立てた。
Hodie Vivere財団のスポークスマンは、ノバルティス社とは接触をもっ
ていなく、キャンペーンは市民の健康を考えてのメッセージであり、そ
してベルギーには3つある水虫薬のどれを処方するかは医師次第だと主
張した。
Hodie Vivere財団は、その科学的な信用を損なわされたとTest Achatst
を告訴した。しかし、ブリュッセル裁判所は、消費者団体がしているこ
とはテレビキャンペーンを批判する権利を行使した範囲内のことだと判
断をくだし、Hodie Vivere財団は敗訴した。
(T)
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