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米国FDAに医薬品安全性の独立部局を新設する法案が提出される

2005-05-31

米国FDAに医薬品安全性の独立部局を新設する法案が提出される
(キーワード: FDA、市販後安全性、独立部局新設、市販後医薬品評価・研究センター CPDER、議員立法、FDA Safety Act 2005)

 市販後安全性問題で揺れる米国FDA(食品医薬品局)ですが、上院財務委員会座長のグラスリー上院議員等が準備を進めていた市販後の医薬品安全性に関する独立部局をFDAに新設する法案が、いよいよ議会に提出されました(FDA Safety Act 2005、※1)。

 医薬品の承認を行った部局が、その承認の否定につながる判断を行うことには困難があるため、市販後の安全性担当部局は審査を行った部局から独立した存在であることが必要との考え方を具体化しています。

 法案が成立すれば、新たな部局は医薬品の製造企業に対し、安全性を確かなものにするための市販後臨床試験を要求する権限を持つようになります。これまでFDAは、製薬企業に市販後にそのような試験を要求する権限がありませんでした。市販後臨床試験の不履行に対しては非常に厳しい罰金が課せられます。

 なお、米国保健省はFDAに医薬品安全性監視委員会を設置し、これらの安全性問題を深く検討する旨表明していますが、まだ具体化されていない段階にあります。

 以下は、英国医師会の発行するBMJ誌2005年5月7日号(330、1044)の「FDAに新たな医薬品安全性部局を設ける法律が提出された」の記事の概略です。

   医薬品安全性をめぐる米国FDAにおける論争の1年が経ち、チュック・グ
   ラスリー上院議員(共和党、アイオワ)とクリス・ドッド上院議員(民主党、
   コネチカット)が先週、FDAに独立した医薬品安全性部局を設置する法案
   を提出した。

   FDA安全性法(FDA Safety Act)2005は、成立するならば、市販後医薬品評
   価・研究センター(CPDER)を創設させる。センターの部局長は、FDA局長に
   直接報告する形となる。現在は、FDA医薬品安全性部(Office of Drug
   Safety)は、新薬部(Office of New Drugs)の諮問機関的な役割を果たして
   いる。

   昨年11月、上院委員会で「FDAが医薬品安全性の取り扱いを誤った」と証
   言したFDAの科学者ディビッド・グラハム氏は、BMJ誌に対し、この法律は
   長く待たれていたもので、議会が公衆衛生に影響する重要な課題に取り組
   むのは喜ばしいと語った。

   新しいFDA安全性法のもとで、市販後医薬品評価・研究センターの部局長
   は、医薬品の製造企業に医薬品の安全性を確かなものにするための市販後
   臨床試験を要求する広範な権限を持つだろう。

  「この条項は重要だ」と、パブリック・シティズン・ヘルスリサーチ・グル
   ープの副代表ピーター・ルーリー氏は語る。なぜなら歴史的にFDAは、承
   認の時点でそうしないなら、承認後にはそうした研究を実施させる権限を
   もっていないからだ。

   パブリック・シティズンが1999年に行った研究では、製薬企業は承認から
   5-10年以内に、新規化合物の新薬に要求された市販後臨床試験を13%
   (11/88)しか終えていなかった。新法は、製薬企業が研究を完遂しない場
   合には、30日ごとに最高200万ドルの罰金を課す権限を新たな安全性センタ
   ーの書記官に与えている。
                                (T)

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