米国「ユーザーフィー法」(新薬審査費用製薬企業負担)に対する世論
2005-03-31
米国「ユーザーフィー法」(新薬審査費用製薬企業負担)に対する世論
(キーワード: 米国ユーザーフィー・システム、新薬審査費用の製薬企業負担、
市場撤去医薬品の増加)
1992年にFDAの新薬審査費用を製薬企業が負担するという「ユーザーフィー法」が施行されて以降、問題薬の承認と、有害副作用が原因での市場撤去が増加しています。
米国のFDCレポート・ピンクシート誌2005年3月7日号が、そうした認識は米国の一般消費者の間でも増加しているが、法律を変えようとまではなっていないとの記事を掲載しています。以下は概要です。
[FDAのユーザーフィー・システムは消費者たちに疑問をもたれている
:しかし法制上の変化はありそうにない]
FDAに対する消費者の信頼度についての世論調査は、ユーザーフィー・
システムへの信頼性の欠如を示唆している。
40%が、新薬や新たな医用機器の審査費用を企業が負担するのは禁じる
べきと回答している。34%がそれに反対し、26%はわからないと答えて
いる。
世論調査は、2005年2月23-27日に米全土から1000人を抽出して実施され、
FDAに関連する9つの質問に回答を求めている。
消費者たちのユーザーフィー・システムへの信頼欠如は、新薬や新たな
医用機器の審査の際に安全性が軽視されていることへの懸念から生じて
いる。
3月3日に行われた医薬品安全性についての上院保健委員会の公聴会で、
FDAのウッドコック事業責任者代理は、FDAはユーザーフィー・システム
のもとで、そのエネルギーの50%を医薬品の安全性に注いでいると証言し
た。これは、有効性と安全性にどういう比率でエネルギーを注いでいる
かのFDA内部での調査結果によると、彼女は語った。
ワシントン大学のブルース・サティ氏は、ユーザーフィー・システムに
ついて、違った観点から証言した。文書証言は、ユーザーフィー法が調
印された1992年には、53%であったCDER(シーダー、医薬品審査調査セン
ター)予算での新薬審査費用が2003年には79%に達していると述べた。
ユーザーフィー・システムの他の問題点は、審査費用を企業が負担する
ことによって、FDAとFDAが規制する企業の関係があまりにも親密になる
ことである。
世論調査では、企業がFDAによる製品の審査に影響を及ぼしているかとの
問いに、48%がYesと答えた。Noと答えたのは6%に過ぎず、45%が態度を決
めず、1%がわからないと答えた。
公聴会で、アリゾナ・クリニカルパス研究所長のレイモンド・ウズレー
氏は、議会がユーザーフィー・システムに替えて、企業の負担が直接FDA
の仕事にリンクしないシステムに置き換えることを推奨した。
しかし、法制的な変化は、共和党が米国は新薬の審査スピードで他国に
遅れをとることは好ましくないとしているなどで難しい。
先の世論調査では、62%はFDAが医薬品安全性を確保する一定の能力を有
していると認めたが、24%は多くを期待できないとし、13%は全く期待で
きないと答えた。
(T)
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