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米国FDA諮問委員会がプロトピック軟膏にがんリスクの黒枠警告を要望

2005-02-28

米国FDA諮問委員会がプロトピック軟膏にがんリスクの黒枠警告を要望
 (キーワード: プロトピック(タクロリムス)軟膏、がんリスク、黒枠警告、FDA諮問 委員会)

 スクリップ誌2005年2月18日号が「FDA諮問委員会がエリーデルとプロトピックに対し黒枠警告とメドガイドを要望」の記事を掲載しています。エリーデル(ピクロリムス、日本では未販売)は、プロトピック(タクロリムス)と類縁化合物が成分のアトピー性皮膚炎治療の外用剤です。

 米国FDA小児科諮問委員会(※1)が、小児のアトピー性皮膚炎に用いられる2つのカルシニューリン阻害剤に対し、黒枠警告と薬物治療ガイド(メドガイド)を推奨した。

 とりわけ若年の患者におけるがんのリスクについて警告する黒枠警告の添付文書改訂は、15対1、棄権1の票決によって推奨された。これらの製品の売り上げは4年間に4倍にもなっているが、黒枠警告がなされれば販売と宣伝は厳しく制限される。

 諮問委員会委員は、この販売の成功そのものを大きな問題だとしている。彼等は、2歳未満の幼児のアトピー性皮膚炎治療への適応外使用が増加していることを非常に危惧しているが、それは動物実験のエビデンスから低年齢でカルシニューリン阻害剤に暴露すると子どものがんが増えるかも知れないからである。
  
 さらに、FDAの皮膚科歯科医薬品部門長・ジョナサン・ウィルキン医師によれば、FDAの認可時の意図は、アトピー性皮膚炎におけるエリーデルとプロトピックの使用は代替治療として2次的なものであったはず、と言う。ウィルキン医師は、これらの製品の宣伝が、医師や患者が長期にわたる使用を避けたいと望んでいるステロイドではないという事実を強調したものとなっているが、エリーデルとプロトピックもステロイド同様連続的に用いるべきでないと語った。

「われわれは、一般の人々が宣伝に影響されやすいことを知っている。そして医師は製薬企業のMR(医薬情報担当者)に影響されやすい。これが自由を享受している人達をあやつる方法だ」と、メイヨー・クリニックのジュディス・オファロン医師は語った。

 2003年6月から2004年5月の期間に2つの製品を処方した200万近くの処方の約4分の1が2歳未満児に出されたもので、エリーデルでは増加がより顕著であった。「エリーデル使用の大部分は、最近小児科医によるものとなっている」と、PDAの小児科治療剤部門長・ダイアン・マーフィー医師が語った。2つの企業はともに、2歳未満への適応を拡大するよう現在試験中である。

 黒枠警告の対象にすることは、医師たちにがんのリスクについて自覚させるとともに、アトピー性皮膚炎の第一選択薬としてこれらの製品を用いることは適当でないと認識させることに役に立つ。FDAの規制のもとでは、どんな販促物や広告も、黒枠警告に書かれているのと同様の情報を伝えねばならない。黒枠警告のある製品では、暗示広告[ブランド名を示し、適応や用法用量などには触れない、医療医薬品の患者・市民対象直接広告]は禁止される。

 患者は添付文書を目にしないので、患者へのメッセージ伝達の徹底のために、諮問委員会は薬物治療ガイドを推奨した。法律によって、薬剤師は処方せんを処理する度ごとにメドガイドを患者に渡さねばならない。
                            (T)