米国FDA(食品医薬品局)がグラハム氏のバイオックス論文公表を許可
2005-01-31
米国FDA(食品医薬品局)がグラハム氏のバイオックス論文公表を許可
(キーワード: バイオックス、心臓発作有害副作用、FDA、デイビッド・グラハム、論
文公表許可)
メルク社が心血管リスクのため主力製品COX-2阻害薬バイオックスの販売を中止したこ
とに関連し、この薬剤による被害はFDA自身がスポンサーとなって行った大規模な研究結
果からすでに予測されるものであったこと、にもかかわらず、この点をFDAの科学者が学
術雑誌に発表するのを同局自体が妨げていたこと、そして米国上院ではFDAの安全性管理
をめぐって公聴会が開催され、当のグラハム氏が内部告発に至ったことなどを、2004年
12月の注目情報で記載しました(※1)。今回はその続報で、米国ラスベガス・サン紙2005
年1月3日の記事をお伝えします(※2)。以下はその大筋です。
内部告発に至った科学者の代理人弁護士が3日明らかにしたところによ
ると、13万9千人もの人々がバイオックスによって心臓発作を起こした
とするデータの公表を、FDAはこの科学者に許可したとのことである。
FDAの安全性部門で働くデイビッド・グラハム医師は、主に関節炎の治
療に用いられる鎮痛薬バイオックスの安全性に疑問を呈するデータの
公表がなかなか許してもらえないと、これまで度々発言してきた。その
うえFDAの幹部は、この論文を掲載しないよう、医学雑誌ランセットに
Eメールを送りつけていたという。
製造業者のメルク社は9月下旬に、安全性に関する独自の判断で、バイ
オックスの市場撤去を自主的に行った。
グラハム氏は、11月に上院委員会で、FDAはバイオックスの安全性問題
の取り扱いをしくじり、広く用いられている他の5つの薬剤の懸念材料
についても対処を誤ったなどと証言した。FDAは、これらの陳述に異議
を唱えており、同局の役割をめぐって論議が続いている。
しかし、バイオックス論文を公表するかどうかの問題については、解決
が得られたようである。グラハム氏の代理人である弁護士のトム・デバ
イン氏によれば、FDAはグラハム氏に、8万8千人-13万9千人がバイオッ
クスにより心臓発作を起こし、そのうち30-40%が死亡したと推定する研
究論文を、公表してよいと伝えた。
グラハム氏の論文は英国の医学雑誌ランセットに再投稿される予定で、
掲載が期待されているとデバイン氏は語った。ランセット誌の編集長リ
チャード・ホートン氏は、FDAに極めて批判的な見解を示してきている。
米国政府の説明責任プロジェクトの法務ディレクターでもあるデバイン
氏は、FDAが論文公表を認めたことは良い兆候であると語った。
グラハム氏はコメントをしていないが、デバイン氏は「彼は喜んでおり、
安堵している」と語っている。
(T)
※2 ラスベガス・サン紙2005年1月3日記事(AP通信)
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