注目情報

  1. ホーム
  2. 注目情報

喘息吸入剤セレベントについての米国上院公聴会でのグラハム証言

2004-12-22

喘息吸入剤セレベントについての米国上院公聴会でのグラハム証言
 (キーワード: セレベント、キシナホ酸サルメテロール、喘息吸入剤、喘息死リスク、米国上院公聴会グラハム証言)

 米国上院公聴会(2004.11.18)における証言(※1)で、FDA(食品医薬品局)医薬品安全部のグラハム氏が、使用制限ないし回収すべき薬剤としてあげている5薬剤のうち、セレベント(喘息吸入剤)は日本でも発売されている医薬品であり、またセレベントとフルタイド(プロピオン酸フルチカゾン)との配合剤セレタイドの販売承認申請も2004年4月にされたことが報道されているので、FDCレポート・ピンクシート誌2004年11月22日号(66巻47号)4-5ページの米国上院公聴会の記事から、セレベントの部分を紹介します。

   グラハム氏は、FDAの安全標準が甘すぎる例として、セレベントをあ
   げた。この薬剤は「少なくとも私が信じるところでは、用いた患者が、
   その喘息によって死亡するリスクを増加させるという、都合の悪い性
   質を有している」。

   グラハム氏は、FDAが喘息関連死亡の市販後報告を受けたあと、GSK
   社にセレベント(キシナホ酸サルメテロール)の大規模で単純明快な
   臨床試験を実施するよう要求した、と述べた。「データを分析した
   時に、セレベント投与群に重篤な喘息合併症の統計的に有意な増加
   が存在した」と、彼は主張した。しかし、早くに遮蔽を解いてしま
   うという統計的なペナルティのおかげで「統計的な有意差の慣習的
   な水準がはっきりと十分なものとはならなかった」。

   GSK社は、2003年に試験を中断した。その理由として被験者登録を
   確保する困難さと試験を続行しても中間解析であげられた疑問に回
   答できない可能性をあげた。GSK社は、リスクはアフリカ系米国人
   と吸入ステロイドを併用しない患者においてのみ存在すると主張し
   た。

 おなじく、スクリップ誌2004年11月24日号(3007号)14-15ページの同様の記事から、セレベントの部分を紹介します。

   グラハム氏は、セレベントが1993年に米国で承認される前に、英国
   で行われた大規模試験が「90%の確かさで、セレベントが呼吸器関
   連の死亡を起こすことを示していた」と述べた。しかし、FDAの安
   全基準では、その薬剤が安全なものでないと証明するには95%の確
   かさが求められていた。「95%でなく90%だった。それでFDAは、セ
   レベントが安全で有効な薬剤だとして販売承認したのだ」。

   約10年前に、FDAはGSK社に、セレベントが喘息死を来たすか来たさ
   ないかを決めるために、安全性試験を行うよう要求した。しかし、
   GSK社は中間解析の結果で2003年に試験を途中で止めてしまった。
  「それは非常に奇妙なことだった」とグラハム氏は語った。

  「データを分析した時に、セレベント投与群に、喘息と重篤な喘息合
   併症の有意な増加があった。しかし、若干の技術的な統計ルールに
   よって、十分なものでないとされてしまった」と、グラハム氏は語
   った。

   GSK社は、公聴会のあとの新聞発表で「セレベントは、添付文書や
   ガイドラインに沿って適切に用いられれば、安全で有効な薬剤だ。
   本剤に伴う死亡率の問題については、FDAが2003年8月に黒枠警告で
   注意を喚起したときに十二分に考慮され済みだ」と反論した。
                             (T)