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米国パブリック・シティズンがクレストールの市場撤去を重ねて要求

2004-11-26

米国パブリック・シティズンがクレストールの市場撤去を重ねて要求

 (キーワード: パブリック・シティズン、コレステロール低下剤、
  クレストール、ロスバスタチン、市場撤去要求、腎障害、横紋筋融解症)

 スタチン剤(コレステロール低下剤)は、世界の医薬品全体でも売上高が最も大きいアトルバスタチン(ファイザー、リピトール)をはじめ、いくつかの製品があり、競争の激しい市場です。2001年にはセリバスタチン(バイエル、バイコール)が致死的な横紋筋融解症の有害反応で、市場から撤退しています。

 この市場に参入、世界のスタチン剤のシェアの20%を目指そうというのが、英国のアストラゼネカが日本のシオノギからライセンスされ製品化したロスバスタチン(クレストール)です。日本でも、先日の2004年10月18日に薬事・食品衛生審議会医薬品第1部会を通過、販売承認が間近となっています。

 クレストールは、米国では安全性問題で承認が遅れていましたが2003年8月にFDAが承認し、2003年9月に発売されました。医薬品監視を行っている米国の市民団体パブリック・シティズンは、同会発行の医薬情報誌 Worst Pills Best Pills News2003年10月号で、クレストールを「用いるな」と厳しく評価しています。理由は、ロスバスタチンには他剤にない重篤な腎毒性があり、承認前臨床試験で致死的な横紋筋融解症が示された唯一のスタチン剤であること、米国市場にはすでにロスバスタチンよりも安全で患者への有用性が証明されている3つのスタチン剤(ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン)があることです。パブリック・シティズンは、2004年3月4日にFDAに市場撤去を求める要望書を提出しています(※1)。

 他にも、世界的な医学総合誌のひとつである英国のランセット誌が、2003年10月25日号(362,1341.2003)の巻頭論評で「スタチン戦争:アストラゼネカが(激しい売り込みから)撤退すべき理由」を掲載、ロスバスタチンの安全性に疑問を呈し、アストラゼネカの激しい売り込みを非難して話題を呼びました。同誌はこの問題は、新薬はどのように臨床の場に持ち込まれるか、および不適切に研究開発された新薬から患者をどのような手段で守ることができるか、についての疑問を投げかけるものであるとして、医師たちに「有効性と安全性についての信頼すべきデータがなく、アストラゼネカが異常な売り込みを展開しているもとで、医師はこの薬剤を処方する前によく考えるべきだ。また医師は彼らの患者にロスバスタチンについての真実ーすなわち、競合品と比べてロスバスタチンは安全性の点で劣ることを支持するエビデンスがあることを告げるべきだ」と呼びかけています。

 2004年10月29日、パブリック・シティズンは「クレストール」の発売後1年間のデータを分析し、2004年3月の要望書の補遺として、市場撤去を求める再度の要望書をFDAに提出しました(※2)。

「クレストール」は、他のスタチン剤よりも腎障害の報告率が75倍高く、また横紋筋融解症の報告率は横紋筋融解症発生の多さで市場撤去されたバイコールの相当時期の報告数に近いことを指摘しています。
                            (T)