米国FDAが成人における抗うつ剤による自殺リスクを精査
2004-11-26
米国FDAが成人における抗うつ剤による自殺リスクを精査
(キーワード: FDA、抗うつ剤、成人、自殺リスク、精査)
米国FDAが成人における抗うつ剤による自殺のリスクを精査します。BMJ誌2004年10月9日号の記事です(329巻,816ページ)。この記事はBMJ(British Medical Journal)のウエブサイト(※1)で329巻816ページと入力して記事を検索すれば読めます(このBMJのウエブサイトは2005年1月から有料になります)。以下は記事の要約です。
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[FDAが成人での抗うつ剤のリスクを精査]
米国FDA(食品医薬品局)は、先週、成人に対するデータを再解析
することにより、抗うつ剤が小児と同様に、成人に対しても自殺企
図のリスクを増加させるかどうかを調査すると発表した。
「われわれが成人のデータについてまず行うべきは、成人が自殺
死したデータの解析を終え、それを公表することである」とFDAの
CDER(医薬品評価研究センター)のスポークスパースンは語った。
スポークスパースンはBMJ誌に、「FDAはまた、最近販売承認申請
された種々の抗うつ剤の資料に含まれている自殺企図と自殺行動を
検討するよう求められている」と語った。
「これらのデータについては、新薬承認申請時にチェックされたが、
当時は自殺念慮が増加する兆候は認められなかった」とスポークス
パースンは語った。FDAの部長代理であるジャネット・ウッドコッ
クは、解析は「大変な作業」になるだろうと語った。
現時点では、抗うつ剤を摂取した患者の全データベースの約10%が
再解析を終えたに過ぎない。小児の抗うつ剤服用によって、100人に
つき2-3人の割合で自殺傾向が増すというFDAの「黒枠警告」は、最
近の一連の分析から専門諮問委員会が導き出したものである。
1994年に出版された「プロザックに言い返そう」で、SSRI(選択的
セロトニン再取り込み阻害薬、抗うつ剤の一種)による暴力と自殺の
リスクについてはじめて記述した精神科医であり臨床精神薬理学者で
もあるピーター・ブレッギン医師は、今回の再評価を歓迎している。
「躁(そう)病、興奮、不眠、アカシジア(静座不能症)を引き起こす
抗うつ剤の刺激効果は、死に至る反応を引き起こしうる」と、ブレ
ッギン医師はBMJ誌に語った。
(T)
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