すべての抗うつ剤で「黒枠警告」をするよう米国FDA諮問委員会が勧告
2004-10-21
すべての抗うつ剤で「黒枠警告」をするよう米国FDA諮問委員会が勧告
(キーワード:抗うつ剤、小児患者、自殺傾向、FDA諮問委員会、
黒枠警告の勧告)
2004年9月13―15日に開催された米国FDA(食品医薬品局)の精神神経薬・小児薬合同諮問委員会は15対8の議決で、すべての抗うつ剤に、思春期・小児患者での自殺企図・自殺行動のリスクについて、添付文書で重大な危険性について警告する「黒枠警告」をするよう勧告しました。
この勧告を受けて、FDAは以下のような声明(2004.9.16)を発表しています(※1)。
以下は要約です。
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FDAは、小児患者におけるある種の抗うつ剤の使用に伴う
自殺傾向(suicidality)(自殺企図と自殺行動)のリスク増
加の報告に関する、精神神経薬・小児薬合同諮問委員会
による最近のFDAへの勧告を、概ね支持する。
FDAは、抗うつ剤の使用に関する警告をラベリング(添付
文書の表示)で強め、またこれらの抗うつ剤が処方された
時に患者に提供する情報を強化するよう、迅速に着手した
ところである。
諮問委員会のメンバーは、比較対照臨床試験で観察され
た自殺イベント・行動を分類・分析し、新たな分析が結
果に対する信頼性を増したとのFDAによる見解を支持して
いる。
諮問委員会のメンバーは、データを検討したいずれの薬
剤(5種類のSSRIすなわちcitalopram,fluvoxamine,
paroxetine,fluoxetine,sertralineならびに4種類の非
SSRIすなわちvenlafaxine,mirtazapine,nefazodone,
bupropione)であれ、警告の例外となるものはないとして
いる。
すべての抗うつ剤を黒枠で警告することについては、諮
問委員会は賛成15、反対8と票が分かれた。
諮問委員会のメンバーは、これらの抗うつ剤が利益をも
たらす小児患者が存在する可能性があるので、それらの
小児患者の薬剤へのアクセスを重視する観点から、米国
では禁忌とはしないことを勧告した。
諮問委員会のメンバーは、抗うつ剤のラベリングに比較
対照臨床試験での成績を記載することを勧告した。
(T)
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