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医薬品の過量服用が、米国における事故死の第一原因になった

2015-09-28

(キーワード:医薬品(処方薬)、過量服用、死亡、最多原因)

 1998年、Lazarou,J らは、「米国では、1994年に医薬品の副作用による死者数が、死因のうち第4位となった」という論文を米国医師会雑誌(JAMA)に発表1)した。この論文は、39の前向き調査研究(prospective studies)で得られたデータをメタ・アナリシスにより分析した結果を1994年の統計数字に当てはめて計算した結果、「副作用死」が年間106,000人で同年の死因別死亡数の上位4位に相当する(心臓病743,460人、がん529,904人、脳血管疾患150,108人に次ぐ数値。5位は肺疾患で、101,077人)と指摘し、医薬品関係者に大きなインパクトを与えた。この推定は「副作用死」に焦点を当てたものだが、このほど、上記表題のように「過量服用死」が「2013年の米国における事故死の首位となった」とする報告がBMJ電子版2)にてシアトルのMichael McCarthy氏により以下のように報告されたので紹介する。

 6月17日付の事故の影響に関する報告3)によると、2013年、米国では44,000人以上の人が、医薬品の過量服用の結果死亡した。同報告によると、2013年に事故で193,000人以上の人が死亡し、1歳〜44歳の年齢で死因の首位であった。同報告では、米国では処方オピオイド(麻薬)の販売が増加するに伴い、その過量による死者の数が徐々に増え、交通事故関連死を上回って米国の事故死の首位を占めるに至った。毎年44,000人と推定される薬物関連死の約半数である22,000人は、処方薬と関連していると報告されている。

 オピオイド問題の対策として、34の州とコロンビア地区では、オピオイド拮抗薬のナロキソンを過量からの「救助薬」として医療専門家が処方し一般の人が用いるのを認めている。

 以上のように、McCarthy氏の報告は、米国では危険な「医薬品の過量服用」が増加していることを紹介し、その州ごとの対策も部分的に紹介している。

 それらの詳細は、McCarthy氏の報告の元となったロバート・ウッド・ジョンソン財団のThe Facts Hurt:20153)を参照されたい。 (KK)

文献
1) Lazarou J,et al:JAMA,1998 Apr.15;279(15) 1200-5
2) McCarthy,M:BMJ,2015;350:h3328
3) Trust for America’s Health. The facts hurt:a state-by-state injury prevention report. Jun 2015. http://healthyamericans.org/reports/injuryprevention15.

関連資料・リンク等