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子宮頸がん予防ワクチン 推進するWHOの影にゲイツ財団と製薬企業

2015-01-27

(キーワード:HPVワクチン、WHO、ゲイツ財団、製薬企業、利益相反)

 子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)は、副反応による被害を訴える声が募り、日本では、昨年6月以降、定期接種の積極的勧奨が中止されている。勧奨再開を求める推進派の粘り強い運動が続く背景には、途上国の健康問題に取り組むWHOを巻き込んだ、製薬企業との利益相反の問題がある。

 以下は週刊金曜日(2014年7月25日)「子宮頸がん予防ワクチン 推進するWHOの影にゲイツ財団と製薬企業」の概要である。
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 「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」などが6月20日、東京都内で開いたシンポジウムで、WHO理事らは、HPVワクチン接種に対する国の積極的勧奨の再開を促した。
 しかし、副反応を検討した厚生労働省の委員のうち7割と「専門家会議」が、HPVワクチンメーカーのGSKとMSDから寄付金などを受けていたことが分かり、「薬害オンブズパースン会議」は「専門家会議」に対し、両社との金銭関係を過去に遡って明らかにするよう、6月18日付で公開質問状を突きつけた。
 
 09年12月、GSKの「サーバリックス」が日本初のHPVワクチンとして発売された。国は翌年11月、接種費用の9割を公費負担とする補正予算を組み、10年度107億円、11年度580億円を計上した。MSDの「ガーダシル」も11年8月に発売され、同年、日本は世界のHPVワクチン市場の4分の1を売り上げる“草刈り場”になった。

 子宮頸がんによる死亡率は貧困国で高いが、先進国では極めて低い。それでも、1回分1万数千円と高額なHPVワクチンを先進諸国がいちはやく定期接種化した。一方、最貧国には新規ワクチンを安価に供給する国際組織「GAVIアライアンス」が約500円で供給している。
 GAVIは、1999年にビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団が出資して設立した。ビル・ゲイツ氏は、07年に米国で法制化された医薬品の「優先審査制度」など、企業の利益を確保する市場インセンティブ(誘因)によって、世界の不平等や貧困の解決を目指す「創造的資本主義」を提唱した人物だ。
 
 WHOの予算は7割が任意の寄付に依存している。大半は加盟国や国連機関による寄付だが、10〜11年に最高額を寄付したのはゲイツ財団で、総予算の1割近い455億円、GAVIも101億円、GSKはワクチンなどの現物と金銭で計82億円相当を寄付している。

 WHOはGAVIの常任理事でもある。さらに、09年にはGAVIを通じて最貧国に供給すべき有効で安全な薬としてガーダシルとサーバリックスを「事前認定」しており、中立な立場とは言い難い。
 やはりHPVワクチンの推奨機関として言及されることの多いCDC(米国疾病予防管理センター)も、前所長(任期02〜09年)が10年にMSDの親会社メルクのワクチン部門トップに天下りしている。
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 世界の健康格差や貧困問題を速やかに解決しようという取り組みには、大義がある。そのため、近年、官民連携による「持続的な途上国支援」では、同時に製薬企業の利益確保に厚い配慮がなされている。しかし、WHOや各国政府の規制当局が、民間企業と協働・共犯関係の中で生み育ててきた医薬品などに問題が生じた時、本来の機能を失ってしまう危険をはらんでいる。

 当会議は、1999年、WHOに対し、WHOプロジェクトと直接または間接的に利害関係のある商業的企業からの寄付は、いかなる寄付も適切ではないとのコメントを送付している(http://www.yakugai.gr.jp/topics/topic.php?id=186)。本記事は、当会議が15年前に抱いていた懸念が現実のものとなりつつあることを示している。

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