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プレスクリール誌による2013年におけるフランスの医薬品規制に対する評価

2014-09-17

(キーワード: フランス、医薬品規制の評価、2013年、プレスクリール誌)
 
 歴史のあるフランスの独立医薬品情報誌レビュー・プレスクリールは、毎年フランスの1年間の新薬承認や安全性監視など医薬品規制に対する評価を公表している。
2013年の医薬品規制に対する評価が、プレスクリール・インターナショナル誌2014年4月号に掲載されたので、概要を紹介する。

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 1) 新薬・新効能などの評価

 ここ何年かわれわれが毎年行ってきた医薬品市場における新たな展開のレビューは、患者にとって真の治療利益をもたらす医薬品はほとんどないこと、危険な新薬や新効能が過度に存在すること、そしてがん治療分野に法外に高価な新薬があることを繰り返し強調してきた。2013年その状況に変化はみられたのだろうか?

プレスクリール誌が2013年にレビューした90の新薬ないし新効能の結果は以下のとおりである。

Bravo(すばらしい) ・・・・・・・・・・・・・ 0
A real advantage(真の利益がある)・・・・・・ 0
Offers an advantage(利益をもたらした)・・・・ 6
Possibly helpful(有益と思われる) ・・・・・ 12
Nothing new(目新しいところはない) ・・・・ 48
Judgement reserved(判定できない)・・・・・・ 9
Not acceptable(利益がなく不利益がある)・・・15

 半数以上(48)が既存製品を上回る利益をもたらさず、「目新しいところはない」と評価された。この状況はこれまでと変わらない。18の新薬または新効能のみが既存製品を上回る治療利益に相当したが、その利益の程度はあまり大きくない。

 新薬・新効能について指摘しておかねばならないことに、小児科用剤・効能の開発の遅れがある。
 2013年に画期的な製品はなく、エクリズマブ(非典型溶血性尿毒症症候群治療の新効能、日本での商品名はソリリス点滴静注)など6の新薬または新効能が「利益をもたらした」、12のそれが「有益と思われる」であった。9の新薬の利益と害のバランスが、不適切な臨床評価がなされていたためにできなかった。また、がん治療はデータが不十分なまま承認されている主な領域であった。

 利益がなく不利益があると判断された新薬が15もあった。これらは主にがん治療剤と糖尿病治療剤であった。後者では、リナグリプチン(日本での商品名はトラゼンタ錠)、シタグリプチン(同ジャヌビア錠、グラプティブ錠)、ビルダグリプチン(同エクア錠)が糖尿病薬に求められる合併症の抑制が示されない一方、非常に多くの副作用をもっている。
 抗がん剤などではその効果に見合わない薬価で保険償還がなされている。ニセルゴリン(日本での商品名サアミオン、脳循環代謝改善剤)など1980-90年代から販売されていたいくつかの問題薬が販売中止や効能を制限されたのは歓迎される。しかし、その決定が遅すぎる。

 問題が多い肥満症治療剤について、ロルカセリン(日本未承認)など2剤が承認を拒否されたのは歓迎される。また、副作用の多い第三世代経口避妊剤などが保険償還リストから削除されたのも歓迎される。ただし、これらの薬剤から患者を保護する最良の手段は保険償還リストからの削除でなく、市場からの撤去であることは言っておかねばならない。

2) 安全性監視について

 フランスの医薬品規制庁は、メディアトール薬害の経験から患者を危険な医薬品から守るいくつかの施策を実行した。しかし、欧州医薬品庁や欧州委員会はこれらを取り入れていない。

真の進歩をめざし、ヘルスケア政策をもっと患者中心のものにしていかねばならない。

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日本では、フランスのプレスクリール誌のように多くのスタッフを擁し、新薬全般に対する評価を行える独立した医薬品情報機関はない。このような評価を行っていくことは今後の課題である。              (T)

関連資料・リンク等