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ドイツでポジティブな付加価値があるとの評価を得た新薬は29%にすぎない

2014-06-05

(キーワード:AMNOG、G-BA、医療技術評価、費用対効果、SGLT-2)

 ドイツでは2011年1月から施行された医薬品新秩序法(AMNOG)のもと、新薬は発売1年間は自由に価格を設定できるが、その1年間の間に既存薬に対する付加価値を証明しなければなない。新薬にもし付加価値がなければ、既存の比較薬と同じ価格となる場合や保険償還から外れる場合もある。製薬企業にとって厳しいこのAMNOGシステムは論議を呼び、いくつかの企業はドイツで新薬を販売しないことを決めた。

 以下はG-BA(ドイツ連邦合同委員会)の新薬評価の結果についてのスクリップ誌の記事(2014年2月14日号)を要約したものである。

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 ドイツの保健技術評価機関に新薬の保険償還を認めさせることが厳しいことは広く知られている。
 これまでベネフィット評価の結果が明らかになった116品目のうち、既存製品と比較してポジティブな付加価値があるとの判定を受けたものは29%に過ぎない。評価が低く上市をあきらめた製品も続出している。最近の「災難」は、新しい作用機序の糖尿病治療剤であるアストラゼネカのForxiga(dapagliflozin)、ノボ・ノルディスクの長時間作用型インスリン製剤Tresiba(ocriplasmin)、ファイザーの抗がん剤Bosulif(bosutinib)などである。既存品と比較して大きな付加価値があると判定されたものは1つもなく、70品目は付加価値が全く無いとされ、1品目は既存薬よりも価値が低いとされた。
 製薬企業にとって欧州最大の市場であるドイツで成功するのは非常に困難なことは明らかである。AMNOGシステムはまだ進化しているため、製薬企業はドイツのHTA(医療技術評価)システムの要求に注意することが必須である。

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 ドイツで厳しい評価を受けたForxiga(dapagliflozin)はSGLT-2阻害剤と呼ばれる糖尿病治療薬で今年日本での売上が最も期待されている新薬である。数年前に発売され爆発的に使用量が伸びている糖尿病治療薬のDPP-4阻害薬についても、G-BAは厳しい評価をしている(※1)。製薬企業にとって日本はドイツと比較して新薬で成功する可能性の高い国であることは間違いなさそうである。
 なお、ドイツのこのシステムについては、新薬の評価に対して癌患者や医師がより強い役割を果たすべきとする意見もある(※2)。
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