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論文と登録レポートでの公表は不十分、臨床試験の詳細情報の公表が必要なことがデータで示される

2014-01-09

(キーワード:臨床試験(治験)総括報告書、CSRs、IQWiG、HTA、情報公開) 

 EUでは、承認された医薬品について臨床試験データの詳細情報公表の動きがあり、未発表の臨床試験(治験)総括報告書(Clinical Study Report:CSRs)の公開が議論されている。

 臨床試験総括報告書(CSRs)とは、実施された臨床試験について記述した文書で、臨床的・統計学的な記述、説明及び解析を一つの報告書に網羅してまとめたものである。

 各臨床試験計画書ごとに作成されることとされ、日・米・EU 三極医薬品承認審査ハーモナイゼーション国際会議(ICH)の合意事項に基づきガイドライン(※1)も作成されている。

 ドイツの医療技術評価(HTA)を行う公的機関であるIQWiG(保健衛生制度における質と経済性に関する研究所)は、同研究所が医療技術評価(HTA)のため企業から提供された臨床試験総括報告書(CSRs)から得られた重要な情報が公表論文や公表登録試験レポートで入手できるかについて分析した。

 以下はPros Medicine 2013年10月号のCompleteness of Reporting of Patient-Relevant Clinical Trial Outcomes: Comparison of Unpublished Clinical Study Reports with Publicly Available Data (患者が関連した臨床試験結果の報告の完全性:公表データと未発表の臨床試験総括報告書の比較、※2)の概要である。
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 未発表の臨床試験総括報告書(CSRs)へのアクセスは、現在、臨床研究の公平な評価を保障するものとして議論されている。

 ドイツIQWiGは、製薬会社に対し、薬の評価を行うため定期的に臨床試験総括報告書(CSRs)の提出を要求している。

 ドイツIQWiGは、2006年1月15日からと2011年2月14日に16の医薬品についての医療技術評価(HTA)を行う目的で受け取った未公開の臨床試験総括報告書(CSRs)から、企業の了解が得られた101の臨床試験について得られたデータを分析した。

 この101の臨床試験のうち、公表データを持っていたのは86、公表論文を持っていたのは65、公表登録試験レポートを持っていたのは50であった。

 臨床試験データには、患者に関連した重要なデータが1080あり、臨床試験総括報告書(CSRs)は、その86%を掲載していた。

 しかし、公表論文や公表登録試験レポートでは、患者に関連した重要なデータのうち39%しか掲載されていなかった。

 この情報の完全性における違いは、統計的に有意だった。

 著者たちは、欧州委員会と欧州医薬品庁(EMA)の臨床試験総括報告書(CSRs)を含む臨床試験データ公表の政策を支持し、それらの情報公開の対象が、今後承認される医薬品だけでなく、すでに医療で用いられている医薬品に拡大されることが必要としている。
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 臨床試験(治験)総括報告書(CSRs)は臨床試験終了後、あるいはその臨床試験が中止されたとしても作成されなければならないとされている。

 臨床試験で得られた患者に関連したデータは臨床試験のスポンサーのものではなく、公的なデータであり、全ての臨床試験は登録されるべきであり、全ての臨床試験総括報告書(CSRs)は公表されるべきである。G.M