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フランス医薬品安全庁が新たな医薬品広告規制(販促物の事前許可制度)を開始

2012-10-04

(キーワード: フランス医薬品行政改革、フランス医薬品庁、メディアトール薬害、広告規制)

糖尿病薬(適応外使用により‘やせ薬’としても使用)メディアトール(Mediator; 成分はベンフルオレックスbenfluorex)の副作用による薬害が問題となり(※1)、昨年来、フランス医薬品安全庁(AFSSAPS)は厳しい批判にさらされてきた。フランスは、このメディアトール事件を受けて2011年12月29日、医薬品行政改革法案を制定し(※2)、医薬品安全庁(AFSSAPS)はフランス医薬品・保健製品安全庁(ANSM: L’Agence nationale de sécurité du médicament、その後L’Agence nationale de sécurité du médicament et des produits de santé)として再出発した(2012年5月1日より)。また2011年末にはPIP(Poly Implant Prosthesis)社製の豊胸用シリコンバッグ破裂による障害事例が多発していることも明るみに出ており、ANSMには、医薬品のみならず医療用具、医療機器に対しても、さらなる安全対策の強化を図ることが期待されている。
2012年5月31日ANSMは安全性強化策の一貫として、医薬品広告に関する新たな規制を発表した。 これを伝えるスクリップ電子版2012年6月13日記事の概要を紹介する。
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フランス医薬品・保健製品安全庁(ANSM)による医薬品広告に関する新たな規制は、フランス公衆衛生法典(Code de la santé publique)に基づいており、2012年6月以降、処方箋医薬品の販促用資料は事前に当局の許可を得なければならない(visa PM: prescrire médicaments)というものである。これまでも企業は、医療者向け販促用資料を当局に提出してきたが、提出と同時に販促資料として使用することが可能であった。しかしこの規制以降は、許可を得てからでなければ販促資料として使うことはできない。
このような販促物の事前許可システムは、フランスではvisa GP(grand public)として一般用医薬品ではすでに導入されていた制度である。この制度が処方箋医薬品の販促物にも適応されることで、製薬企業には、販促物の内容と販促計画をより慎重に検討することが求められることになった。
許可申請料は510ユーロである。申請可能期間は、2012年は6月1日〜15日の半月と9月1日〜10月31日の2か月に制限され、この期間以外は申請を受け付けない。申請後2ヶ月以内に当局から不許可の通知がなければ許可されたことになり、その後2年間有効となる。また、安全性の問題からリスク・ベネフィットの再評価が必要となった医薬品については、その評価が終わるまで販促することはできないが、評価に基づいて改訂した販促資料を、先の期間に関係なくその都度、許可申請することは可能である。なお、一般用医薬品の販促資料に関しては、毎月1週間の申請期間が設定される。
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 本注目情報ではこれまで、フランスは医薬品の広告規制が比較的厳しい国として紹介してきた(※3、※4)。ANSMによる今回の新たな規制は、それをさらに推し進めるものとなることが期待される。
一方、日本における医薬品の広告は、医療用医薬品(日本製薬工業協会による「医療用医薬品プロモーションコード」2012年5月16日改訂)、一般用医薬品(「OTC医薬品等の適正広告ガイドライン」2011年版)ともに、業界の自主規制に任されているのが実状である。日本の薬事行政がフランスの行政改革から学ぶものは多い。(Y)
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