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GSK社は糖尿病剤アバンディアの心循環リスクを早くから知っていたー米上院財務委員会が調査報告書、FDAは諮問委員会を7月に開催する旨表明

2010-04-02

(キーワード: 糖尿病剤、アバンディア、心血管リスク、リスクコミュニケーション)

 2007年ニューイングランド医学雑誌に、糖尿病剤アクトスの類薬であるアバンディア(日本未発売)が心循環リスクを増加させるとのメタアナリシス(複数の質の良いランダム化比較試験の結果を統合して行う総合解析)論文が掲載され、FDA(食品医薬品庁)はアバンディアとアクトスによる心循環リスクについて添付文書で黒枠警告を行った。この時米国上院財務委員会はアバンディアをグラクソ・スミスクライン社(GSK社)がどのように扱ってきたかについて調査に入った。それから2年、このほど委員会のスタッフ報告書がまとめられた。報告書は資料部分が多いが、342ページにわたる大部のものである(※1)。以下はその要旨である。
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 上院財務委員会の調査メンバーは、GSK社、FDA、ノースカロライナ大学などから入手した合計25万ページ以上にわたる書類をレビュー(注意深く詳細に検討)した。調査メンバーはまた、GSK社、FDA、匿名の内部通告者と会うかまた電話で話を聞いた。
 この調査は2007年5月、アバンディアが心臓発作を増加させることがニューイングランド医学雑誌に報告されたときから開始された。しかし委員会が調査してわかったのは、GSK社はその何年も前からそのことを知っていたということである。GSK社はそのことを患者とFDAに警告する義務があった。それをせず、GSK社はそのことが知られ広がらないよう画策した。ニューイングランド医学雑誌に論文が掲載される前に、GSK社は関係するコンサルタントからその原稿を事前に入手していた。社内専門家の分析でその内容が統計学的に正しいことを知った同社は、それをプレスリリースなどで他の面から攻撃する手立てをとった。また同社は、心循環リスクについての懸念に応えるようなデザインはされていないアバンディアの他の臨床試験の予備段階の結果を急きょ流して、ニューイングランド医学雑誌論文の結果に対置させようとした。
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 この委員会報告書を報道した2010年2月19日のニューヨークタイムズ電子版(※2)は、FDA安全性部門のグラハム氏とゲルペリン氏が2008年にFDAに提出し、この程公表されたFDA内部の意見書についても報道している。両氏は当時GSK社が行おうとしていたアバンディアとアクトスの直接比較などを行う試験TIDE(2020年に結果が判明)に対し、アバンディアがアクトスと比較して月に500例の心臓発作と300例の心不全を不必要にもたらし患者を危険に陥れ反倫理的でありかつ不正に自己の利益を図るものとして、アバンディアの市場撤去を求めていた。ニューヨークタイムズはアバンディアが2009年7-9月の3か月間に304の死亡をもたらしたとしている。
 FDAは2010年2月22日、FDAのウェブサイトにアバンディアについてのリスクコミュニケーションを掲載した(※3)。FDAは現在アバンディアの臨床試験であるRECORDスタディなどのレビューを行っているが、現時点では新たな安全対策をとるとの結論は得られていないとしている。FDAはレビューが終わり次第、2010年7月に代謝分泌諮問委員会と医薬品安全性リスク管理諮問委員会の合同会議を開催すると言明した。    (T)