FDAが患者・市民の権利擁護と専門的規制技能の向上をめざしシニアスタッフを登用
2009-11-18
(キーワード: FDA、シニアスタッフ雇用、パブリックシティズン、ピーター・ルーリ)
2009年6月、米国食品医薬品庁の新首脳であるハンバーグ長官とシャルフスタイン副長官は、ニューイングランド医学雑誌の誌上で新体制の所信表明を行った。科学第一、説明責任を徹底し、市民の健康を守る使命をもつ公衆衛生官庁として信頼に応えて行きたいとの内容であった。2009年10月、ハンバーグ長官はこの方針の実現のために長官オフィスへの登用を中心に、9人の人材を外部からFDAに雇用する旨発表した。
この人材登用を報道するスクリップ電子版 2009年10月21日の記事の要旨を紹介する。
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FDA長官のマーガレット・ハンバーグ医師は、多数のシニアスタッフのFDAへの臨時雇用をアナウンスした。これには公衆衛生の専門家、患者・市民の権利の擁護者、民主党同調者、FDAや議会の経験者が含まれる。ハンバーグ長官は5月FDAに着任時、内部の人もがんばっているが、FDAの公衆衛生を守る科学基盤と役割は非常に大きいので、更なる改善のために外部に人材を求めるとしていた。
たぶん最も驚きのそして製薬企業が当惑する登用は、パブリックシティズンのピーター・ルーリ医師の任命であろう。ルーリ医師は政策オフィスで重要な公衆衛生上の必要に合致した医薬品の使用を促進する政策の発展に携わる。ルーリ医師はつい今までパブリックシティズンの副代表として、代表のシドニー・ウルフ医師とともに、FDAの安全性監視権限とFDAの意思決定の透明性を増し、製薬企業の医師への支払いを情報公開するよう、FDAに圧力をかけていた。代表のウルフ医師は最近、医薬品の安全性/リスク管理諮問委員会の患者・市民代表として任命された。ルーリ医師をFDA内部に招くことは、良く知られた患者・市民の権利の擁護者をFDA内部において政策立案での役割を与えることになる。公益医療センター(CMPI)の代表であるポーター・ノベリ氏はCMPIのDrugWonks.comプログで、医薬品利用に関する良く知られたポジションへのパブリックシティズンの登用は、FDAが扱う多数の医薬品が「あまりにも危険な」ものであることを示していると書いている。
政策オフィスへの他の登用者には、ウィスコンシン大学の法と生命倫理の教授であったアルタ・カーロ氏がいる。彼女は2006年にFDAの安全性監視を厳しく批判した医学研究所(IoM)委員会のメンバーであった。彼女は新たなテクノロジーの医薬品などを担当する。
アン・ウィット氏も政策オフィスに加入する。彼女はFDAの元スタッフだが、この6年間は下院エネルギー商業委員長ワックスマン事務所のスタッフをしていた。FDA副長官のシャルフスタイン氏もワックスマン事務所の元スタッフであった。
メグハン・スコット氏はFDAの主任プレス担当官に任命され、FDAの日々のプレスリリースを受け持つ。彼女は原告側弁護士グループのコミュニケーション・ディレクターをしていた。
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このたびFDAの政策オフィスに迎えられたパブリックシティズンのピーター・ルーリ医師は、2008年6月当会議の招きで来日し、薬害オンブズパースン会議10周年記念のシンポジウム「歪められる医薬品評価―産官学連携への警鐘―」に参加されるとともに(※1)、その際に出されたイレッサ関連の共同宣言にも参画されている(※2)。FDAでのご活躍を祈りたい。 (T)