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企業の医師への支払い情報公開でバーモント州が全米をリード

2009-08-07

(キーワード: 医師への支払い公開、バーモント州)

 米国バーモント州は、製薬企業の医師への支払情報公開法を2002年に率先して制定した。この法律は製薬企業の医師・病院・大学への支払いをコンサルタント料なども含め広範に明らかにすることを意図したものであった。しかし、2007年にパブリックシティズンが調査した2002-2004年のデータでは、同州の努力にかかわらず企業秘密の壁の前に61%しか開示に成功していない (※1)。
 2009年6月バーモント州は、この抜け穴をふさぎ患者・市民により完全な情報を提供するために、医師への支払い情報公開を徹底して強化する新法を成立させた。スクリップ電子版2009年6月23日の記事の要旨を紹介する。
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 James Douglasバーモント州知事は2009年6月はじめに、全米で最も厳しい医師への支払い情報公開法に署名した。この法律はわずかの例外を除きほとんどすべての医師への贈り物を禁止するものである。例外には無料サンプル、ピアレビュー誌の文献提供などが含まれる。この法律は段階的導入の部分もあるが7月1日に発効する。
 その内容は連邦議会で審議中の同じく医師への支払いを情報公開する「サンシャイン法」(※3)よりも格段に厳しいものである。バーモント州新法の内容はNational Legislative Association on Prescription Drug Prices (NLARx)が推し進めた。この法律の主唱者であるPeter Shumlin上院議員もNLARxのメンバーである。
 NEJM誌2009年6月10日号でDr Robert Steinbrookは、連邦議会で審議中の「サンシャイン法」の強化を図らないと、連邦法と各州法の内容が重なる部分は連邦法が優先されるpre-emptionが適用されるのではと警告している。これに関し米国製薬協(PhRMA)は、各州法に優先する全国均一の報告基準が「サンシャイン法」で確立されるべきだと述べている。
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 米国では他にもマサチューセッツ州で医師に対する50ドル(約5000円)を越える支払いを情報公開する新法が2009年5月に成立し2009年7月から実施される。「サンシャイン法」の状況であるが、2009年6月23日現在、上院・下院ともに保健改革法案(health reform bill)の「サンシャイン条項」の形となり審議されている。5ドル(約500円)を越える支払いは報告することと報告の閾値が厳しくなっている。上院・下院の法案内容はほとんど同じだが、上院法案にあるpre-emptionの言葉が下院法案では全くないのが違いとなっており、論議中と伝えられる(エルゼビア・ヘルスニュース2009年6月23日)。
 このように、米国では、製薬企業から医師などへの支払いが医薬品価格に跳ね返り、また処方内容にゆがみをもたらすなどから、透明性確保が大きな動きになっている。一方日本では、読売新聞電子版2009年6月3日の報道によれば、同社が製薬協加盟69社にアンケート調査した結果は、回答37社(回答率54%)中、「公表に向け検討中」は9社(加盟社中の13%)に過ぎず、16社(同23%)は「公表の予定がない」と答え、その他は明確な方針を示さないという遅れた状況にある。取り組みの強化が求められている。 (T)