医学論文のゴーストライター問題にどう取り組むべきか
2009-06-23
（キーワード ゴーストライター、医学誌編集者国際委員会[ICMJE]、世界医学誌編集者協会[WAME]）
2007年5月7日付「注目情報」(※1)では、企業主導の臨床試験44試験中40試験にゴーストライターが存在したというデンマークのGøtzscheらの調査論文を紹介した。そのGøtzsche（デンマーク・コクランセンター所長）らが、Pros Medicine誌の「ディべート」(討論) 欄で、ゴーストライターの問題をどうとらえ、どう改善すべきかについて論議している(※2)。以下は、その要旨である。
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Gøtzsche所長は、ゴーストライターを用いることは科学的非行（Scientific Misconduct）であり、それ相応に扱われねばならない、として、�〜瓦討了┿鈩席犬蓮�著者各自の貢献度を記載すべき、�∋┿錣諒埆玄圓蓮∀席玄紘�要項に、ゴーストライターを用いることは科学的非行であること、もしそのことが判明したら公表して、著者の所属機関に警告し、関係企業を特定することがあることを記載すべき、�Ｊ埆玄圓話�者たちに質問して、論文の第１稿を誰が書いたか（調査研究では、誰が研究計画を書き、誰が統計解析をしたか）を特定すべき、等々９項目の提案をしている。
これに対し、タフツ大学の著名な教授でニューイングランド医学雑誌の名誉編集長であるKassirer教授は、ゴーストライターを定義するのは難しく、その頻度と影響についてさらに証拠が必要であるとして、医学誌編集者国際委員会（ICMJE）と世界医学誌編集者協会（WAME）のガイドラインでの「著者」の定義を紹介し、これよりも厳格な定義が必要であろうと指摘している。そして、「明らかに偏ったゴーストライターによる論文は、患者に害を及ぼし、製薬産業と医学界に対する公衆の信用を傷つける」と指弾している。
豪州・英国・米国の専門的医学論文執筆者協会のメンバーである、クイーンズランド大学のWoolley准教授ら5人は、専門的医学論文の執筆者は論文作成に貢献していて、それは合法的だが、ゴーストライターを用いることは不誠実で許容できないとして、同協会が作成した５項目のチェックリスト（医学論文執筆者に対し、「医学論文執筆サービス費用の出所が謝辞で、あるいは雑誌の指示に従い記載されているかどうか」「論文の主要な論点、特に結論について最終的に著者が決定したかどうか」を含む質問を行い、回答してもらう）を示し、「ゴーストライターを排除することに努めている協会は、このチェックリストによって協会メンバーを教育できる」としている。
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このように、欧米では、ゴーストライターに対しては厳しく対処することが目指されている。こうした欧米の動向に学び、日本での「ゴーストライターの実態解明と解決」に公的な努力を傾注すべきであろう。 （K）
文献
Gøtzsche PC, Kassirer JP, Woolley KL, Wager E,et al.(2009) What Should Be Done To Tackle Ghostwriting in the Medical Literature? ProS Med 6(2)0122-0125 (※2)
