FDA諮問委員会はセレベントの喘息効能削除を勧告
2009-06-23
(キーワード:長時間作用型β作動薬(LABAs),セレベント,喘息死,アドエア,Symbicort,小児使用)
FDA諮問委員会は,安全性が問題となっている長時間作用型β作動薬(LABAs)を含む製剤の喘息効能について,どのように取り扱うか検討した。
具体的には,Advair(日本商品名はアドエア,サルメテロールとフルチカゾンの配合剤,注1)アドエアとSymbicort(日本未承認,ホルメテロールとブデソニドの配合剤)である。特に,Advairは2006年の世界の売り上げ第2位の医薬品で気管支喘息・慢性閉塞性肺疾患の治療薬である(第1位はリピトール)。2007年は第3位になったものの,ビッグファーマであるグラクソ・スミス・クライン社(GSK)がパキシル(SSRI)の次に世界市場に送り出したブロックバスター(注2)である。
FDAの諮問委員会において,アドエアの12歳以下への使用については,僅差で使用禁止とならなかった。しかし,サルメテロール単独の製剤であるセレベントについては,大差で喘息効能の削除を勧告した。このことをピンクシート誌2008年12月15日号が伝えている。
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諮問委員会は,2008年12月11日,喘息死の副作用が問題となっているLABAs含有製剤の喘息効能について採決した。単独製剤のセレベント(サルメテロール),Foradil(ホルモテロール,日本関連商品名アトック)については効能削除を勧告した。しかし,吸入ステロイドとの配合剤であるアドエアとSymbicortについては,便益がリスクを上回るとした。アドエアの12才以下の小児への使用については13対11棄権3の僅差で使用禁止とはならなかった。
諮問委員会は,LABAs単独成分剤が喘息効能を有することから,臨床現場で吸入ステロイドと併用せずに使用するのを増長させるのでないかという懸念を表明していた。LABAsは,喘息治療における使用が例えできなくなってもCOPD( 慢性閉塞性肺疾患 )に対する適応は残り,単独成分剤での存続が認められるからである。
諮問委員会は,3つの委員会メンバー(肺アレルギー薬委員会,薬の安全性とリスクマネージメント委員会,小児薬を監視する委員会)の合同でもたれた。同委員会は,LABAsと関連した有害事象を評価するために,LABAs単独成分剤の臨床試験を対象にFDAが行ったメタアナリシス(総合解析)をレビューしたが,すべての年令層の患者に対してLABAsの喘息効能を取り除くよう勧告した。
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日本では,2009年4月に「アドエア エアー」が発売され,小児の喘息への適応も拡大されたが,FDA内部で上記のような議論が行われていることはほとんど伝えられていない。セレベントの喘息への適応も現状のままである。(G.M)
注1:サルメテロールは単独使用で喘息死のリスクが高くなる長時間作用型β作動薬である。吸入ステロイドのフルチカゾンは副腎機能抑制の強いことが問題となっている。これらについては,注目情報でもとりあげている(※1,※2,※3)。そのため,当会議は,2005年5月,両剤の配合剤であるアドエアを承認しないよう厚生労働省に要望した。(※4。なお,当時はセレタイドと報道されていたため,当会議の要望書も「セレタイドの承認審査に関する要望書」となっている。)。
注2:「ブロックバスター」とは新たなジャンル(注目分野)を打ち立て,圧倒的な売り上げを見せた医薬品のこと。一般的には年間10億ドル(約1000億円)以上の売り上げがある医薬品。