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金銭的以外の利益相反に対してもルールを――PLoS Medicine誌

2009-02-09

[キーワード:利益相反、非金銭的な利益相反、知的利益相反、開示、バイアス]

 論文の投稿者と査読者・編集委員の間に、金銭的な利害関係がある場合、その判断にバイアスがかかる可能性があることは、誰もが感じることである。それでは、それがかつての同僚であったり、師弟関係がある場合はどうだろうか。
 PLoS Medicine(A Peer-reviewed Open-access Journal publishied by the Public Library of Science)はネット上に開かれた新しいタイプのオピニオン・メディアで、医学界に鋭い問題提起をする特異な存在だが、こうした非金銭的な利益相反をどのように考えるかを分析したのが「金銭以外の利益相反に対してもルールを」と題するこの論説である。
 問題は大きく分けると3つある。(1)開示、(2)基準、および(3)エビデンスである。(1)開示:金銭的利益相反とは異なり、何をどこまで開示するのか、線引きが難しい。(2)基準:そのためには判断を行うための基準や方針を作る必要がある。しかし、闇雲に基準をつくるわけにはゆかず、非金銭的な利益相反が実際の判定にどのような影響を及ぼしたかを明らかにする必要がある。(3)エビデンス:非金銭的利益相反の影響を調べた研究は非常に少ないが、皮膚科領域のある雑誌で228の論文をしらべたところ、著者が特定の人をレビューアーから外せるようにした場合は、そのような条件をなくした場合に比べて、受理される確率が2倍高かった。金銭的利益相反よりも非金銭的な利益相反(知的利益相反)のほうが数も影響力も少ないとみなすのはおそらく間違いだろうというのがPLoS Medicineの結論である。   (B)