インフルエンザワクチン非接種による看護師解雇は認めない 米シアトル裁判所
2006-02-21
(キーワード: インフルエンザワクチン、非接種による解雇は認めず、米裁判所が裁定)
日本でも、インフルエンザワクチン接種を受けない医療従事者に村八分的な圧力が加えられたり、接種を受けていない子どもを保育所に連れてくるなといった問題が起こっている。これに関連した米国での動きを、シアトル・タイムズ紙2006年1月6日号記事(※1)から要旨を紹介する。
インフルエンザワクチンを接種しなかったバージニアメィソン・メディカ
ルセンターの看護師たちが、ワクチンを接種するか退職を選ぶか、2005年
12月31日を期限としてセンターから求められていた件で、米国シアトル連
邦裁判所は、1月5日に接種しない看護師たちの訴えを認める裁定をした。
同メディカルセンターは、2004年9月すべての従業員にワクチン接種を強
制する方針を打ち出し、センターと看護師たちは激しく言い争っていた。
しかし、2004-5年の冬についてはワクチン不足があり休戦状態にあったが、
センターは2005年、12月末を期限として従業員全員にワクチン接種を受
けるよう最終通告をしていた。
米国全土における医療従事者のインフルエンザワクチン接種率は平均して
約36%であるが、これまで同センターでは約55%がワクチン接種を受けて
いた。しかし、ワクチン接種を強制するセンターの厳しい方針のもとで、す
でに5000名の従業員の96%以上がワクチン接種を受け、600余名の看護師
においても、労働組合員の90%近くを含むほぼ全員に近い看護師がワクチ
ン接種を受けている。非組合員の看護師では、すでにワクチン接種を拒否
した10名近くが解雇されている。
接種を望まない看護師の訴えに対し、2005年8月に労働争議仲裁委員が同
センターはワクチン接種を従業員全員に強制できないとの裁定を下してい
た。しかし同センターは、仲裁委員が権限を逸脱し、またワシントン州看
護師会約定を正しく解釈していないと、連邦裁判所に提訴していた。今回、
シアトルの連邦裁判所は、権限の逸脱はなく約定解釈にも問題はないと、
同センターの主張を退けた。
(T)
- 関連資料・リンク等