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抗うつ薬パキシルに催奇形性の警告が出される

2006-01-31

(キーワード: FDA, GSK、 パキシル、警告、妊婦、先天性奇形)

 すでに05年11月の注目情報(※1)でお知らせしたように、抗うつ薬パキシル(一般名パロキセチン)は、妊婦が服用した場合は胎児に催奇形の危険性を示すデータが出ていた。 
米国FDA(医薬食品局)は12月8日付けで新たに疫学データの分析結果から、妊娠初期3か月間にパキシルを服用した場合には、先天性奇形、特に心臓に奇形をもつ子が生まれるリスクが高くなると判断して、胎児への影響の程度をしめす分類を、カテゴリーCからDにすることなどをメーカー(グラクソ.スミスクライン)に指示した(※2)。カテゴリーDは、「ヒトの胎児の奇形や不可逆的障害の発生の頻度を増す、または増すと疑われる、またはその原因と推測される薬」である。
今回の指示により、米国では医療者に対する処方情報に、カテゴリーの変更と共に「警告」の項に妊婦への忠告とデータの追加がなされた。医師は妊娠の可能性のあるまたは妊娠初期の女性には「警告」内容を知らせ、パキシルの服用の中止をアドバイスするべきだとしている。このFDAの決定は未公表の二つの疫学調査(米国とスエーデン)に基づいている。米国のデータでは他の抗うつ薬に比べパキシル服用の母親からは、心臓に欠陥をもつ子がうまれるリスクが1.5倍、スエーデン出生登録データでは全登録小児に比べパキシルに暴露した子では、心臓欠陥のリスクが2倍になっている。

これを受けて日本でも06年1月16日付けでパキシルの添付文書が改訂された(※3)。この改訂添付文書を見ると、「警告」の項ではなく、「使用上の注意」の項に記載されているが、「警告」にすべきではないか。うつ病患者は女性に多く、男性の2倍以上であるといわれており、今回のFDAの「警告」は医療者だけでなく、抗うつ薬を服用している女性やその家族にも早く知らせるべき情報である。

 なお当会議では、セミナー「抗うつ剤で何が起きているのか」を開催し、またグラクソ.スミスクライン株式会社、藤沢薬品工業株式会社(旧)、明治製菓株式会社へ「抗うつ剤SSRIのデータ等の公開を求める要望書」を出している(※4)。

                           (S)