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抗うつ薬パキシルの服用で催奇形性の危険

2005-11-16

(キーワード: FDA、 GSK、 パキシル(パロキセチン)、処方情報の改訂、妊婦、先天性奇形)

 抗うつ薬パキシル(一般名パロキセチン)は、18歳未満で有効性がないことや、メーカーであるGSK(グラクソスミスクライン)が自殺企図についての臨床データを隠蔽していたことで、この一年間すでに十分に注目をあびてきた。今回、さらに以下のように胎児
への危険性の可能性を示す疫学調査の結果が明らかにされた。 パキシルは、妊婦が使用した場合の催奇形性に関して、「カテゴリーC」に分類されている薬剤である。

   「カテゴリーC」:催奇形性はないが、その薬理作用によってヒト胎児また
    は新生児に悪影響をおよぼすか、あるいは及ぼす可能性がある薬剤。

 米国FDA(医薬食品局)とGSKは医療専門家に向けて、9月27日付けのウェブサイト
(FDA/MedWatch)で、パキシル処方のための情報のうち「妊娠/使用上の注意」の項を改訂したことを通知した(※1)。この改訂にはGSK自身が、妊娠初期3か月間にパキシルあるいは他の抗うつ薬を服用した妊婦3581人について疫学調査を行った分析結果が書かれている。パキシルを服用した妊婦では他の抗うつ薬服用者と比較したとき全般的な先天性奇形のリスクが約2倍に増加するうえに、心臓奇形のリスクも2倍に増加しており、心臓奇形の14人の幼児のうち10人は心室中隔欠損であった。
 
 一方、改訂版には、この疫学調査の結果の後に、パキシル服用によるリスクの増加は認められなかったという、Sweden Medical Birth Registryの4291人のデータを解析した別の疫学調査があることがあっさりと記載されている。しかし、これがあったからといって、GSKの疫学調査結果が打ち消されるものではありえないので、パキシルの処方に際して医療者は患者と十分な話し合いの上にも慎重を期すべきであろう。 
                                 (S)