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HPV ワクチンに関するコクラン・レビューに対する批判的見解

2018-06-07

2018年5月、コクランは、HPVワクチンに関し、26の比較臨床試験を対象としたシステマティック・レビュー結果を公表しました。しかし、本レビューは、本来あるべき姿のシステマティック・レビューからはほど遠いものです。そこで見解を公表しました。骨子は以下のとおりです。
 

1 有効性のレビューについて
本レビューは、有効性に関し、1本を除きすべて企業資金による26のランダム化試験を評価した結果、子宮頸がんの前がん病変を生じるリスクの減少を認めたとしましたが(ただし、追跡期間は最長8年)、これは、これまで企業が主張してきたことに何ら新しいものを付け加えるものではありません。

2 危険性のレビューについて
本レビューは、23の各臨床試験における有害事象の報告数を用いてレビューを行い、HPVワクチン接種群は対照群と比較して重篤な有害事象の発現リスク増加は認められず、死亡においても有意な増加は認められなかったとしました。しかし、次の問題があります。

(1)アジュバント入りのプラセボまたは他のワクチンを対照としている
評価対象となった23の臨床試験のうち、アジュバントを含まないA型肝炎ワクチンを対照群とする1試験を除き、22の臨床試験全てにおいて、アジュバント入りのプラセボまたはアジュバント入りの他のワクチンが対照として用いられています(別紙表参照)。
唯一の生理食塩液プラセボ対照で行われた試験は、合理的理由なく、評価対象から除外されています。

(2)臨床試験における有害事象情報では、HPVワクチン接種後症状を捉えることはできない
このレビューは、各臨床試験における個別の有害事象の報告数を用いてメタアナリシスを行い、HPVワクチンと対照群との間に有害事象発現率に差はなかったとしているにすぎず、長期間にわたって様々な症状が1人の患者に重畳的に発生するというHPVワクチンの副反応を捉えたものではありません。

(3)危険性を示唆する多くの論文を考察の対象としていない
本レビューは、HPVワクチンを示唆する多くの研究論文を全く無視し、「考察」の対象にしていません。

(4) 疫学研究や国際機関、規制当局のレビュー等の批判的考察がない
その一方で、一部の疫学研究や、CDC、EMAなど各国の規制当局、WHOのワクチン安全性諮問委員会(GACVS)、国際機関等によるレビュー結果など、結論としてHPVワクチンの危険性を否定したものばかりが「考察」の対象として組み入れられ、しかも、その結論を批判的に吟味することなく受け入れています。

3 オセルタミビル(タミフル)等に関するレビューの教訓
コクランはかつてタミフル等について、評価対象の適切な選択と批判的な吟味を怠り、後に評価のやり直しをせざるを得なかった経験があります。その教訓が生かされていません。

4 プレスリリースの偏り
本レビューには多くの限界があるにもかかわらず、コクランのプレスリリースは、HPVワクチンのリスク・ベネフィットバランスに疑問を呈する見解を「害の不当な主張」と決めつけています。その姿勢は、本レビューの中立性を疑わせるに十分です。また、グラクソ・スミスクライン社やメルク社のコンサルタントをしている医師のコメントを反響として紹介していることも不適切です。

5 著者の利益相反等
4名の執筆者のうち3人に利益相反があり、特に筆頭者であるM.Arbynは、HPVワクチンの治験論文の執筆者と共著でワクチンの有効性を強調する論文を出し続けてきた人物です。コクランにおいては、2015年に発表された2型糖尿病に関するレビューの著者の製薬企業との利益相反がレビュー公表後に判明し、レビューそのものが取下げられたことがあります。
また、コクランは、ワクチンを推奨するビル&メリンダ・ゲイツ財団から2016年に1億3,000万円の資金提供を受けていることも考慮しなければなりません。

6 おわりに
当会議が2018年3月24日に開催した国際シンポジウムでは、国境を越えて多くの被害者がワクチンを推進する医師やメディア関係者などから、「反ワクチン」というレッテルを貼られたり、症状の訴えがデマであると中傷されたりしている状況にあることが明らかになっています。
本レビューが、その問題点が理解されないままに、HPVワクチンを推奨する人々に利用され、HPVワクチン接種後の健康被害で苦しむ人々をさらに苦しめることになることを憂慮します。

※2018年6月7日に公表した見解書に誤記がありましたので、同月8日、以下のとおり修正するとともに、新たに臨床試験一覧表を見解書末尾に添付致しました。

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訂正前「評価対象となった23の臨床試験すべてにおいて」 
訂正後「評価対象となった23の臨床試験のうち、アジュバントを含まないA型肝炎ワクチンを対照群とする1試験を除き、22の臨床試験全てにおいて」