「ベンゾジアゼピン系薬物の『使用上の注意』改訂に対する意見書」提出
2017-11-02
2017年11月1日、薬害オンブズパースン会議は、厚生労働省に対し、「ベンゾジアゼピン系薬物の『使用上の注意』改訂に対する意見書」を提出しました。
ベンゾジアゼピン系薬物とは、抗不安作用、催眠作用、筋弛緩作用、抗痙攣作用をもつ薬剤で、日本国内で販売されている抗不安薬と睡眠薬のほとんどがそれにあたります。副作用が少ないと信じられ、精神科・心療内科だけでなく一般内科や整形外科でも安易に処方されてきた結果、日本における単位人口当たりの使用量は今や世界最多とも言われています。
しかし、ベンゾジアゼピン系薬物は、大量服用した場合だけでなく、常用量(承認用量)でもわずか数週間で身体的・精神的依存を生ずる危険性があり、中には錯乱、幻覚など深刻な離脱症状を生じる場合もあります。そのため、欧米各国はベンゾジアゼピン系薬物の処方継続期間を概ね2~4週間に制限しています。
当会議は、2015年10月に「ベンゾジアゼピン系薬物に関する要望書」を厚労省や関連学会等に提出し、常用量依存と離脱症状を添付文書の警告欄へ明記すること、処方継続期間を制限することなどを求めました。それから1年半が経った2017年3月21日、厚労省は、承認用量でも連用により依存が生じる危険があることを理由として述べたうえで、各メーカーに対し添付文書の「使用上の注意」を改定して連用による依存について記載するよう指示を出しました。
しかし、実際の改訂内容は単に「大量連用」という従来の記載から「大量」の2文字を削除しただけのもので、これでは常用量でも依存が生じることの明確な注意喚起とは言えません。また「漫然とした継続投与」を避けることを記載するよう指示したものの、医師が漫然でないと考えている限りいつまで連用しても問題がないかのような印象を与えてしまいます。このように、今回の厚労省の対応では明らかに不十分と言わざるを得ません。
そこで、当会議は、2017年11月1日、厚労省に対し、
①常用量依存をはっきりと明記し、しかも「使用上の注意」欄ではなく「警告」欄に記載すること、
②処方継続期間を各国にならって原則4週間以内に限定すること
などを求める意見書を提出しました。
※現在ベンゾジアゼピン系薬物を服用している患者又は家族の方へ
減薬又は断薬については、主治医と十分に相談しながら、慎重に判断する必要があります。
その際には、2015年10月28日付要望書本文においてご紹介した日本語版アシュトンマニュアルも参考になりますのでご参照ください。
患者が医師に相談せず 、自己の判断で減薬又は断薬の判断をすることは、逆に危険ですのでくれぐれもお控え下さい。
なお、当会議は、個別の相談や医療機関の紹介依頼には対応できませんので、ご理解くださいますようお願い致します。