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DOAC(NOAC)に関する日本製薬工業協会と日本医学会への要望書を提出、企業5社及び関係3学会からの回答受領

2016-07-21

当会議は、2016年3月2日に、「心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)」の利益相反問題に関する公開質問を、新規経口抗凝固剤(DOACまたはNOAC)を製造・販売する企業5社及び関係3学会に送付し、その後、DOAC(NOAC)を製造・販売する企業5社及び関係3学会より、回答書を受領しました。
そして、この回答に示された問題点等を踏まえ、2016年7月21日、日本医学会と日本製薬工業協会へ要望書を提出しました。

1 日本製薬工業協会に対する要望書

<要望事項>
貴協会が、「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」おいて公開を求めている各年度の医療機関等に対する資金提供等の情報について、公開期間の限定を行っている各会員会社に対して、限定を外すよう指導することを要望する。

2 日本医学会に対する要望書

<要望事項>
(1)診療ガイドラインの策定開始から遡って過去3年の間に、診療ガイドラインとの関係で問題となる医薬品の製造販売企業または競合品目を開発中または製造販売中の企業(以下「関連企業」という。)から年間50万円を超える金銭の受領がないことを診療ガイドラインの策定参加資格条件とすること。

(2)診療ガイドラインの策定開始前のみならず、策定期間中及び診療ガイドライン発行後少なくとも1年間の関連企業からの金銭の受領についても利益相反関係の申告の対象とすると定めてそれを公開すること。

(3)診療ガイドラインに関連する医薬品の承認や再評価等の申請資料に著者として名を連ねた者や治験を担当した医師等、医薬品の開発等に密接に関与した者は、診療ガイドラインの参加資格を有しないと定めること。

(4)診療ガイドラインには、診療ガイドライン策定参加者が有する利益相反関係について、関連企業名のみならず、受領した金銭の具体的金額を記載するものと定めること。

3 各企業の回答について

(1)透明性ガイドライン適用範囲外の年度の利益相反関係
全ての企業において、日本製薬工業協会の「透明性ガイドライン」に則って情報を公開しているとの回答がありました。
透明性ガイドラインの適用範囲が2013年度からであるためか、自社のDOAC(NOAC)の承認年度が2012年度以前の企業からは、2011年度及び2012年度の具体的金額についての回答はありませんでした。

(2)透明性ガイドライン適用範囲内の年度の利益相反関係
透明性ガイドラインの適用範囲である2013年度についても、回答書で明確に回答のあった企業は1社のみです。その他はウェブページ上で公開している旨回答がありましたが、そのうち2社については、情報の公開期間を1年と限定としているために、既にウェブページ上での確認が不可能となっていました。
回答書でも明確に回答せず、ウェブページ上でも公開が終了しているのであれば、実質的に回答なしに等しいと言わざるを得ません。
透明性ガイドラインにおいては、公開時期について「各年度分を翌年度に公開する」と規定されていますが、透明性ガイドラインの趣旨からすれば、この記載は、公開時期について翌年度でもよい旨を定めたものであって、公開期間を1年間に限定する意味ではないと理解されます。
したがって、公開期間を1年と限定し、2013年度の具体的金額について回答しない企業の姿勢は、透明性ガイドラインの趣旨に反するものです。
そこで、前記のとおり、日本製薬工業協会に指導を求めました。詳細は資料欄をご覧ください。

4 各学会の回答について

(1) 利益相反関係の申告の対象期間
関係3学会からは、連名の回答書が届き、回答書には「診療ガイドライン作成を担当する作成班員の利益相反管理は、発行時から遡って1年以内の利益相反状態が開示基準額以上であれば、学会事務局に自己申告させ、その内容は発行する診療ガイドラインに記載し、透明性の確保を基本的な考えとしております。」との記載がなされていました。
しかし、診療ガイドラインの策定作業は1年以上かかる場合もあり、診療ガイドライン策定後に謝礼が支払われることも十分あり得るため、ガイドライン発行時から遡って1年では申告の対象期間として不十分です。
また、今回の公開質問の対象となった「心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)」には、利益相反関係の記載はあるものの、具体的な受領金額は記載されず、企業名のみが記載されていました。こうした記載は、透明性確保からはほど遠いものと言わざるを得ません。

(2)「心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)」の作成班員の利益相反関係に対する見解
なお、当会議の「心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)の作成班員等が関連企業から多額の金銭を受領するという利益相反関係を有することを適切であると考えるか」との質問に対しては、明確な回答がありませんでした。
もっとも、「ご指摘の金額区分による策定参加者の資格条件については、今後の検討が必要と考えております。」との記載及び、日本医学会が策定を進めている「診療ガイドライン策定参加資格基準ガイダンス」の策定を待って適切に対応する旨の回答がありました。
そこで、日本医学会が策定を進めている「診療ガイドライン策定参加資格基準ガイダンス」の策定について要望書を提出しました。詳細は資料欄をご覧ください。