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「『医薬品の臨床試験の実施の基準 に関する省令』一部改正の骨子(案)に対する意見」を提出

2015-11-11

 薬害オンブズパースン会議は、本日、日本版コンパッショネートユース制度(人道的見地からの治験)の実施に際し予定されているGCP省令の一部改正案について、厚労省が行った意見募集に応じ、この省令改正に反対する意見(パブリックコメント)を提出しました。

 厚労省が策定した「人道的見地からの治験参加の骨子(案)」(人道的治験骨子案)は、コンパッショネートユース制度を日本に導入するにあたり、これを医薬品医療機器等法上の治験として行うものとしています。

 しかし、医薬品医療機器等法において、「治験」は医薬品の有効性及び安全性の科学的立証を目的とするものと位置づけられており、人道的見地からの治験は法の予定する「治験」に該当しません。コンパッショネートユース制度は、重篤で他に治療法のない疾患に苦しむ患者に対して、人道的見地から未承認薬の使用を認める制度ですが、たとえ倫理的に必要な制度だとしても、有効性・安全性が検証されていない未承認薬による治療を可能とすることは、医薬品医療機器等法の目的(医薬品等の品質・有効性・安全性の確保、医療上特に必要性が高い医薬品等の研究開発の促進)には含まれません。これを医薬品医療機器等法上の「治験」の概念に組み込むことには、そもそも無理があります。

 人道的治験骨子案は、「治験」に該当するという考え方を前提に、人道的見地からの治験の具体的制度内容は治験の運用の問題であるとして、法令によらず通達・通知などによって定めることを予定しているものと思われますが、コンパッショネートユース制度は法14条の定める医薬品承認制度の例外となるものですから、その制度化には法律上の根拠が不可欠です。人道的治験骨子案は、法に違反する制度を通達・通知をもって導入しようとするもので、「法律による行政」の原則に反します。

 医薬品承認制度という、法の定める医薬品行政の大原則の例外となるものである以上、コンパッショネートユース制度をどのような要件の下に認めるのかについては、国会において十分に審議のうえ決定することが必要であり、その導入は医薬品医療機器等法の改正ないし新規立法によることが必要です。
 人道的治験骨子案は違法であり、これを前提とする本省令改正に反対します。