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被験者の健康被害補償に関するガイドライン

1 被験者の健康被害補償に関するガイドラインとは

治験中に健康被害にあった場合に、適切な補償が受けられることは、被験者の権利の重要な要素であるから(ヘルシンキ宣言、GCP省令14条等)、本来であれば、補償に関する基本的内容は公的な規範によって定められるべきである。
しかし、日本では、日本では、医薬品企業法務研究会(略称:医法研)が作成したガイドラインがその機能を果たしている。医法研は、2014年5月現在、会員企業87社、270名の登録会員を擁する研究会であり、任意の業界団体であるが、各社は、このガイドラインに基づいて、補償規定を設けて対応しており、このガイドラインは、公共性の高いものとなっている。

2 取り上げた経緯

医法研が、ガイドラインの改定案を公表し、パブリックコメント募集を公表するとともに、当会議に意見を求めてきた。

3 何が問題か

改定案は、多岐に及ぶ問題点を含んでいる。特に、因果関係について、治験補償の対象となる被害を、治験薬等と健康被害との間に「因果関係が認められる」ものとし、「因果関係が認められない場合」は補償しないとしていた。
しかし、治験の段階にあっては、情報は当該企業にのみあり、因果関係を判断するうえで必要な科学的な知見や情報の集積がないか著しく乏しい状態にある。従って、「因果関係の認められる」ことを要件とすることは、被験者保護に著しく欠け、「GCP省令14 条のガイダンス」が「因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにすること」としていることにも反する。
その他にも、補償と賠償の関係、抗がん剤の補償をめぐる問題、ワクチンの治験などについて補償に対する態度の消極性がある。

4 具体的な行動方針

意見書を作成してパブリックコメント募集に応じる。

5 具体的行動とその結果

2015年2月28日、意見書を公表するとともに、医法研に提出した。
その結果、因果関係に関する問題については、一部は意見が反映されたが、課題はまだ多く残っている。

6 今後の活動方針

本ガイドラインそのものについては、運用を踏まえて意見を述べていく。
被験者保護法を制定して、治験中の健康被害についてもこの中に規定し、自主基準にまかせず、国として対応していくことを求めたい。

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