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 私たち国の薬務行政は、欧米先進国に遅れをとっていると言われています。しかし、唯一評価できることがあるとすれば、それは、新薬の承認申請の際、製薬企業が国に提出する資料の主なものは、原則として、日本国内の専門の学会もしくは学会誌などに発表、掲載されたものでなければならないという「公表要件」が課せられていたことでした。
 この制度は、サリドマイド事件などを契機として、医薬品の安全性を確保するために昭和42年に導入されたものです。この公表要件があるからこそ、私たちは、この薬はおかしいのではないかと疑問をもったときに、承認申請資料となった論文を取り寄せ、検討することが可能だったのです。
 ところが、私たちの反対にも関わらず、本年3月30日、この制度の廃止の方針が閣議で確認されました。
 薬害オンブズパースンは、これまであえて個別の医薬品の問題点を指摘する手法にこだわって活動をしてきました。しかし、この「公表要件の廃止問題」は、私たちの監視活動の根幹にかかわる問題です。情報公開の流れに逆行するこの問題を何としても見過ごすことはできません。全力をあげて取り組んでいきたいと思います。
 みなさんのご支援をお願い致します。

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