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 東京、名古屋、大阪、福岡の4地裁で争われているHPVワクチン薬害訴訟については、2023年5月の東京地裁を皮切りに、いよいよ各地で原告申請の専門家証人の尋問が始まります。

 被害者が訴訟を提起しているのは日本だけではありません。最近米国の訴訟が新しい段階に入りましたので、ご紹介します。

 米国ではワクチンの被害については、まず補償請求のための独自の制度を利用しなければならないしくみになっています。いきなり訴訟は起こせないのです。しかし、その手続を経た後に、損害賠償請求を起こすことは可能です。そこで、米国各地の連邦地裁では、ガーダシルに関する個別の訴訟が提起されてきました(米国で主として使われてきたのはガーダシルです)。それらの訴訟について、2022年8月、米国の広域係属訴訟司法委員会が、MDLといわれる広域係属訴訟に統合するという決定をしたのです。移送先としては地理的な条件などを考慮のうえ、ノースカロライナ州西部地区が選ばれ、とりまとめ役の弁護士も指定されました。今後、この裁判所で、証拠開示手続などが統一して行われます。

 米国の集団訴訟としては、クラスアクション訴訟という手続が有名ですが、最近は製造物責任訴訟などについては、このMDL訴訟が活用されているとのことです。

 今回の統合について、ガーダシルの製造企業であるメルク社(MSD社)は強く反対しましたが、それを押し切っての決定です。この決定を被害者側の弁護団は歓迎しています。

 各地の訴訟の請求では、この被害を自己免疫反応と位置づけ、製造物責任の他、臨床試験をめぐる詐欺的な行為などが問題とされており、その基本的主張は、日本のHPVワクチン薬害訴訟と共通しています。

 今後はこの米国のMDL訴訟の展開についても注目し、続報が入りましたら、また皆さんに情報を提供していきたいと思います。

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