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 今回は薬害オンブズパースンメンバーとしての視点というよりは、一患者の家族としての視点からお伝えします。

 長いコロナ禍の中で、病気になった時、患者自身も家族も、様々な経験をすることになりました。通常時においても、手術や難しい治療等が必要な病気にかかれば、それだけで大きな戸惑いや不安を感じるわけですが、まして現状は厳しいものがあると思います。

 病状について、治療方針について、自分が置かれている環境について、家族も交えて、医師と時間をかけて話すことができれば、より適切な方向が導かれるのだと考えますが、今はそれがなかなか難しくなっています。

 いえいえ、それはきちんと行っていますと、医療関係者の皆さんはおっしゃると思います。しかし、患者の側に大きな課題があるのです。

 例えば、本人が自分で説明したり、考えたりすることが難しい状況であれば、家族同席が当然認められると思いますが、判断に問題のない成人の場合、告知等の場面以外は同席を認められず、本人だけの対応を余儀なくされています。検査結果の説明、今後の治療方針の説明、入院時の日常的な対応なども。それは当然、大人なのだから十分だと判断されるのが当たり前です。

 ところが、ちゃんとした大人でも、自分の状況や環境、疑問を自ら話せないという患者はたくさんいるのではないでしょうか。質問には的確だけれど言葉少なに答えるが、自分からの質問や、細かな体調や心情を話すことが苦手な人は、結構いるものです。特に主治医から治療のための専門医に担当がかわり、はじめましての先生の場合、ますますその傾向が強まります。いろいろ先生に聞いて手を煩わせてはいけない、特に、現在の病院の置かれている環境を考えるとますます自粛するというように。

 入院中も同じで、先生はお忙しくて一日のうち少しだけ顔を見せてくれるが、ゆっくり話せない。病棟の看護師さんも忙しそうで、あまり足を止めさせてはいけないのでは。同じ病室の患者で、何かと看護師さんを呼ぶ人がいるが、あんな迷惑をかけてはいけない。などとますます自制してしまう。

 そんな時に、薬の説明や体調確認に来てくださる薬剤師さんにあれこれ話してしまうという患者も結構いるのではないでしょうか。薬剤師さんが話を聞いてくれるので、いろいろ相談できたと。たぶんその範囲は薬のことを超えたかなり広範囲に及ぶものと思います。それは通院時でも同じで、調剤薬局で話し込む患者さんの姿を時に見かけます。

 医薬分業で、病院から離れたところに立地する薬局だからこそ、ますますその役割が求められているのではないかと思います。薬局では患者のカルテを共有しているわけではないことを多くの患者は知りません。薬剤師さんに薬以外の相談をされても大変だとは思いますが、話をしたいというその求めに応ずるためにどういう対処をすればよいのか、これからの課題ではないかと考えています。

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